「大人の女性」を取り込み売上は倍に

――お店の売上はどのように変わっていったのでしょうか。

【長友】最初に出したお店は、1年目は200万~300万円程度でしたが、2年目3年目になると大人の女性が完全にメインのお客様となったので、倍ぐらいの売上を出すようになりました。以前のガチャガチャの売り場のコンセプトではメインのお客様は子どもですから、実際に使われるのは親御さんのお金であり、「○○ちゃん、今日は2個までよ」という制限がかかるわけです。

しかし、大人の女性が大人買いをすることによって支出の制限がなくなり、客単価が確実に上がっていきました。たとえば、あるシリーズをコンプリートしたい場合、300円の商品で5種類あったら売上は1500円で終わるかというと、当然ダブりがありますから2000円ぐらいは平気で使うお客様が増えてきました。

ガチャガチャの森外観
撮影=櫻井文也
ガチャガチャの森外観

従業員を常駐させ不信感を払拭

――「ガチャガチャの森」は各店舗に必ず接客スタッフがいることも画期的だと思います。

【長友】かつてのガチャガチャには「まがい物じゃないの」「変なものが出るんじゃないの」みたいな不安がどうしてもつきまとっていたので、それを払拭するために接客スタッフを置きました。商品に対するお問い合わせに対して、商品説明がきちんとできるスタッフがいる環境を維持することで安心感につながり、ますます大人のお客様がガチャガチャに新しい楽しみを覚えてくれるようになったと思います。

――店舗スタッフの教育はどのようにされているのでしょうか。

【長友】トレーニング専門部隊がいて、トレーナーが約1カ月、付きっ切りで接客の指導をしています。今回新しく、アパレル業界で20年近く働いて現在は接客のトレーニングをしている専門家を入れて、接客の見直しをかけています。

――そこまで徹底されるのはなぜでしょうか。

【長友】私が社員に常日頃言っているのは、「我々は物売りではない」ということです。世の中がモノ消費からコト消費に変わってきているなかで、我々はコト消費、つまりお客様に「ワクワク」「ドキドキ」を売っているんだと言っています。機械にコインを入れてハンドルを回すという行為はまさしくコト消費です。

また、ガチャガチャの場合、基本的に初期ロットしかつくられないので、一度売り切れたら次はもう買えないという一期一会の世界観があり、「トキ消費」とか「エモ消費」というキーワードでも語ることができます。