「やりすぎだ」と皆さん感じています

熊本県議会 議長 
馬場成志 

1964年、熊本県熊本市生まれ。83年、熊本工業高校建築科卒業。84年、産業開発青年隊訓練所修了。熊本市議2期を経て97年、県議会議員初当選。2011年より現職。「7月の豪雨の際、全国の方々から頂いた温かいご支援に深く感謝致します」。

馬場 勘違いされては困るのですが、請願書を出した組合の方々に、喫煙を奨励する意図はありません。熊本県にとって、葉たばこが安定した税収を見込める農作物であり、数値目標を立てたことがたばこを売る人たちの生活に関わるというのも事実です。が、我々はそういう趣旨で意見書を出したのではありません。

受動喫煙をなくす方向に進めていくのは、ルールとして当然のことです。現にたばこを販売する方々は、ただでさえ売り上げが減っているのに、例えば子どもには売らないために顔認証自販機を導入したりと様々に神経を砕いています。

――決議はどのように行われたか教えてください。

馬場 12年6月27日の本会議では、49人の県議のうち、議長の私を除いた48人で採決した結果、46対2で可決されました。反対は共産党と新社会党(編集部注・1996年、社会党より独立した同党左派)の2人。民主・自民・公明・改革クラブ、無所属の会派も皆、賛成でした。

県議49人のうち、たばこを吸うのは推定22人。吸わない27人の大半も賛成に回っています。そのなかには社会的弱者や障がい者のため、あるいは受動喫煙をなくすための努力をされている方も含まれているんです。

議員の皆さんは、感覚として「おかしい」「やりすぎだ」と感じていたと思います。ですから、わざわざ激論をかわすまでもなく、反対討論もありませんでした。採決後、組合の方々に「ありがとうございました」「国に対してしっかりとこれを伝えてください」と言われました。

――県議会内ではたばこは吸えますか?

馬場 県議会には完全に仕切られた喫煙コーナーと喫煙室がありますが、こういう部屋(議長室)で、互いに腹を割って話さなきゃならないときのために、灰皿は置いてあります。

私は昔は1日3~4箱、まあ手癖で吸っていたようなものでした。4年前に一度中止して、今は吸いたいときだけ吸っています。吸わないと決めたわけじゃないから、ストレスにはなりません。それが嗜好品というものでしょう。ただ、喫煙派にも嫌煙派にも「どっちかはっきりせえ」と言われてます(笑)。

※すべて雑誌掲載当時

(プレジデント編集部=聞き手・構成 藤原武史=撮影)
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