まずは睡眠時間を見直したほうがいい
――このインタビューを読まれた親御さんたちに、真っ先に伝えたいことはなんでしょうか。
【成田】まずは「脳育て」をしてください。脳の発達には段階があり、脳育てにも順序があります。
子どもが生まれてから5歳くらいまでは、「からだの脳」を育てる期間です。寝る、起きる、食べる、からだをうまく動かす。そうしたことをつかさどっていて、内臓の働きや自律機能の調節も行います。規則正しい生活や喜怒哀楽といった人間活動の基本となる脳ですね。
――「からだの脳」を育てるには、どうすればよいのでしょうか。
【成田】睡眠時間が重要です。「子どもは8時間寝ればいい」と思っていらっしゃる方も多いのですが、年齢によって必要な睡眠時間や推奨される就寝時刻が決まっています。
子どもはたっぷり寝かせて、親はとにかく我慢する
「からだの脳」が育つ時期を追いかけるように、1歳から「おりこうさんの脳」が育ち始めます。主に、言語機能や思考、スポーツの技術的なものを担う大脳新皮質のことですね。
「おりこうさんの脳」を育てるときは、親御さんが言葉を伝えすぎず、お子さんから言葉を引き出してください。言葉を発しないと、脳の発達にはマイナスなんです。間違っていてもいいからとにかく言葉を出させる。簡単なようにも聞こえるかもしれませんが、実はこの我慢が難しい。
――能力の高い親御さんほど、先回りしてアドバイスしてしまいそうですね……。
【成田】そうなんです。でも、ここをグッと堪えれば「おりこうさんの脳」の次の発達段階に当たる「こころの脳」も育ちやすくなります。「こころの脳」は人間の論理的思考能力をつかさどる前頭葉のことです。
「こころの脳」を育てるには、「語用論」への理解が大切になります。