転職を成功させるためにはどんなことに注意すべきか。元アナウンサーでアナウンススクール代表の松下公子さんは「どれだけ第一印象が良くても、話す内容がまとまっていなければ最終的な印象は悪くなってしまう。自分の強みになる経歴を話すときもそのことを強調しすぎず、共感してもらえるストーリーを組み立てて話すことが重要だ」という――。

※本稿は、松下公子『転職は話し方が9割』(standards)の一部を再編集したものです。

インタビューを受ける女性
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転職で憧れの企業に入ることもできる

そもそも転職面接は、新卒の面接とどう違うのでしょうか?

まずは、就職と転職の違いからお伝えしていきましょう。就職の定義は「高校・専門学校・大学などを卒業した学生が初めて職業に就く」ということです。学生ですから、もちろん、志望している会社の仕事を基本的にはまだ経験していないことが前提です。そのため、採用担当者が就活生を見るポイントは「今はできていなくても、将来できるようになりそうかどうか?」というところ。いわゆる人柄や熱意などから、「将来の可能性」を見ているのです。

では、転職については、何を見られているのでしょうか? 転職、中途採用の場合は、「今、できるかどうか?」がポイントです。即戦力になるかどうか、ということが見られています。「できるかどうか?」と言われると、プレッシャーを感じる方もいるかもしれません。でも、安心してください。「できる」というのは、“優秀である”という意味の「できる」ではありません。“採用側が望んでいる仕事を経験してきている”くらいの意味であると捉えてください。

短期間でもやったことがあるなら、それは「経験」です。私自身、「やってきました」という経験だけで、転職を通じてキャリアアップをしていきました。

まず、佐渡島にあるケーブルテレビから、アナウンサーとしてのキャリアをスタートさせた私は、転職を繰り返した結果、最終的に新卒では入社できなかった準キー局であるメ~テレに就職することができました。そう、経験とスキルを積み重ねていけば、新卒時には手が届かなかった憧れの企業に入ることもできるのです。

新卒と転職の大きな違いは「面接の回数」

さらに、新卒と転職の違いとして注目すべき点は「面接の回数」です。新卒の就職面接は4〜5回にわたり、回数が非常に多いです。それと比較して、転職面接は2回程度と、少ないのです。中には1回の面接で内定を出す企業もあります。ですから、転職は面接に力を注ぐことが、内定への近道だと私は思います。

さらに、一番大事なのは1次面接。多くの転職志望者は1次面接が突破したら次の最終面接ではどんな自分でいこうかな、どんな違った自分を見せたらいいのかな、といろいろ考えます。ですが、無理に変えなくていいのです。1次面接が突破したら、次の最終面接では同じ気持ちで、同じ話をすればいいだけ。「1次面接と同じ自分」で臨んでください。

というのも、1次面接では「うちの会社に合っていそうだな。いいな」と思われたから通過したのです。ですから、次の最終面接で採用側が何を見るかというと、1次面接で思ったことの確認をしたいのです。

本当にあなたが来てくれるのか? あなたと会社が本当に合うかどうか? だから、1次面接が突破したら、何も変えなくていい、というのが私の考えです。転職は面接、それも1次面接がカギなのです。私からすれば転職は1次面接に力を注げば、すぐに内定できるのです。簡単なのです。たった1回の面接で自分の今を大逆転できるとしたら、本稿を読んで実践してみたくなりませんか?

「上手く話す」ことを意識しすぎてはいけない

「1次面接が大事……ということは、よっぽど上手に話さないと内定はとれなさそうだな……」と、プレッシャーに感じる方も多いかもしれません。大丈夫です。逆に、上手に話そうとすると、転職面接は突破できません。

転職志望者に模擬面接をすると、多くの方がたどたどしいしゃべり方をしたり、早口になったり、パターンは人それぞれですが違和感のある話し方になります。さっきまでの雑談で見せてくれた笑顔や雰囲気のいい話し方が、一気に消えてなくなってしまうのですね。そうなると、私はいつもこう質問します。

「いま、何か変なこと考えましたよね? 何を意識して話しましたか?」

転職志望者の答えはこうです。

「わかりやすく伝えなきゃと考えていました」
「明るく高い声を出さないといけないと思っていました」
「きれいに話さないといけないなと意識していました」

結局どれも、上手く話さないといけないという意識が働いているということなのです。

「〜しなきゃ」「〜しないと」といった、“上手く話さないといけない”というプレッシャーをかける意識は、私たちの良さを消してしまいます。ではどうしたら、この違和感のある話し方を変えることができるのか?