「他人は敵」が姉弟の譲れない一線だったのか
飯島氏はこの後事務所を退所し、SMAP解散のきっかけになったといわれている。そこでメリー氏は後継者についてもハッキリこういい切っている。
「もしジュリーと飯島が問題になっているなら、私はジュリーを残します。自分の子だから。飯島は辞めさせます。それしかない」
「飯島が(娘の)ジュリーと対立するということは(中略)私に刃を突きつけているのと同じですからね」
ジュリー氏が書いているように、メリー氏は直情径行なところはあった。だが、弟のジャニーと娘のジュリーはどんなことがあっても私が守る。それが時には、娘と衝突し、抜き差しならないところまで娘を追い込んだことはあったとしても、それはメリー氏なりの愛情の示し方であった。娘もそれはわかっていたに違いない。
年商1000億円、資産も800億円といわれるジャニーズ帝国を築き上げても、信頼できるのは身内しかいない。「他人は敵」、それが戦前・戦後の激動の人生を生きてきた喜多川姉弟の譲れない一線だったのではないか。
私の想像だが、この文章を書き終えて、ジュリー氏は母親と叔父の墓前に頭を下げたのではないだろうか。
2人を悪者にしなければ、この人生最大の危機は乗り越えられない。許してください。そう亡き母と叔父に詫びたのでは……。
賠償額を少なくしようという意図が見え見えだ
ジュリー氏同様東山社長も、「ジャニー喜多川の性加害については知らなかった。気づかなかった」で通そうという腹なのがよくわかる。
ジャニーズ事務所の名前を消す。その事務所は被害者の補償をすべて終えた後、廃業する。補償は11月から始める。
新会社はタレントたちのマネージメントをする会社で、タレント一人一人と契約を結ぶ。
被害者の数は478人から被害申し出があって325人が補償を求めている。
会見は大体このような内容だったが、私にはまだまだ納得できないことが多々ある。被害者への補償は「法を超えてやる」といっていたにもかかわらず、今回は弁護士を引き連れ、補償額はこれまでと同様のケースに照らし合わせてなどといいだした。被害者の多さに驚き、額を少しでも少なくしようという意図が見え見えである。
文春(9月28日号)で追及された「事業承継税制の特例措置」問題。
「二〇一八年にできた特例措置が適用されれば、株式の相続税や贈与税が猶予され、実質ゼロにできるのです(中略)相続税をゼロにするには、申告期限の翌日から五年間、代表取締役を務めないといけません。(中略)なぜ、五年間かというと、後継者育成に最低五年は必要とされているからです。(中略)つまり二〇二五年五月まで、ジュリー氏は代表取締役を務める必要があるのです」(板倉京税理士)