支払いを合法的に逃れる“ウルトラC”が存在した

だが、この巨額な相続税をジュリー氏は支払っていない。ウルトラCによって支払いを免れているそうなのだ。

国税庁関係者が「ジュリー氏は『事業継承税制』の特例措置を使っている」と種明かしする。

事業承継税制とは一体、何か? 板倉京税理士が解説する。

「近年、後継者不足を理由に黒字廃業する中小企業が後を絶たない。そこで国は、二〇〇九年から中小企業の事業承継を後押しするため、『事業承継税制』を導入しました。二〇一八年にできた特例措置が適用されれば、株式の相続税や贈与税の納税が猶予され、実質ゼロにできるのです」

そのためには代表取締役に座り続ける必要があるというのだ。

「相続税をゼロにするには、申告期限の翌日から五年間、代表取締役を務めないといけません。(中略)なぜ、五年間かというと、後継者育成に最低五年は必要とされているからです。(中略)つまり二〇二五年五月まで、ジュリー氏は代表取締役を務める必要があるのです」

なぜ、年間売り上げが1000億円ともいわれるジャニーズ事務所が中小企業なのか? 実は、設立以来ずっと資本金は1000万円に据え置かれているから、中小企業扱いになっているのだという。まさに税制の抜け穴をついた究極の節税対策である。

もし今回ジュリー氏が代表取締役を辞任していたら、特例措置の認定が取り消しになり、それまで猶予されていた相続税に利子分を加えて納付しなくてはいけないという。

「太陽系全域における…」専属契約書の中身

「ジュリー氏が代表取締役に留任した最大の理由は、税金逃れに他ならない。このまま彼女は、性加害の被害者補償を名目に、二〇二五年五月まで時間稼ぎをするつもりでしょう。

事業承継税制を申請すること自体は何ら違法ではないが、きちんと会見で説明すべき。税金逃れを隠して『被害者への補償・救済』へと目的をすり替えるのは、悪質と言わざるを得ません」(国税庁関係者)

10月2日に、社名変更を含めて、社の方針を発表するというジャニーズ事務所だが、根本にある同族経営の問題から逃げていては、信頼回復などできるはずはないと思う。

ところで週刊現代が珍しく2週連続でジャニーズ問題を取り上げている。9月23日号では、「専属契約書」、9月30日・10月7日号では現在も所属している有名タレントの1年間分の「給与明細」を公開している。

契約書の第2条にはこうあるという。

「乙(タレント)は甲(ジャニーズ事務所)に対し、日本を含む全世界を包含する太陽系全域における芸能創作活動のために第三者と交渉・協議する権限を与え」、所属タレントたちが生み出す著作権に関しては、「甲は自由に利用及び処分できる」としている。