体の水分が出ていかず、血液がドロドロに

低気圧頭痛の原因はいくつか考えられますが、最初に低気圧の影響から考えていきましょう。

そもそも、低気圧の接近中や雨が降っているときは、空気中の水分が多く、発汗しにくくなります。すると水分代謝がうまくいかない、いわゆる水はけの悪い状態になります。

水分代謝がうまくいかない=血液がうまく流れていないということ。雨の日は、副交感神経の働きや体内に溜まった余分な水分によって、血管は拡張しているのに血液循環が悪くなるのは、そこを流れる血液がドロドロになってしまっているから。

川幅は十分にあるけれど、流れはゆるゆるとしているドブ川のようなイメージです。

なぜドブ川になってしまうかというと、くもりや雨の日は汗をかきにくいことに関連して、水分補給がおろそかになりがち。

血液も水分ですから、外から入ってくる水分が不足するとドロドロになってしまうのです。

さらに、低気圧の接近中や通過中は、リラックスモードの副交感神経が働きやすく、動くのが億劫になりがちです。

すると、血液を送るポンプの役割を果たすふくらはぎの筋肉も刺激されず、より一層、血液の流れが悪くなるという悪循環に!

傘からのぞく雨の街
写真=iStock.com/jrobertblack
※写真はイメージです

家の中でじっとしていると悪化するケースも

歩いたり動いたりすることで交感神経が刺激され、血管が収縮して血液循環もよくなっていくのですが、それをせずに家の中でじっとしていると、開きっぱなしになった血管が周囲の神経を刺激し、それが頭痛を誘発するというケースもあります。

また、気圧の変化をキャッチするのは、耳にある内耳という器官ですが、内耳はリンパ液で満たされており、水分代謝がうまくいかない水はけの悪い状態になると、内耳周辺の神経を圧迫し、これが頭痛まではいかなくても、耳鳴りやめまいを引き起こす原因になることもあります。

台風の発生や接近にともなって片頭痛が起こる「台風頭痛」も低気圧頭痛のひとつといえるでしょう。

台風の発生によって気圧が1ヘクトパスカル低下すると、海面が約1センチ上昇します。人間の体も約60%が水分ですから、その影響は避けられません。

台風がいよいよ接近してくると、12~24時間で気圧が20~30ヘクトパスカル低下するようなことが起こります。すると、体内の水分調整をする自律神経の働きが追いつかず、台風頭痛といった不調を招くことになります。