「日本代表に選ばれたい」という想いは、ずっと諦めてない

――以前、釣りの同人誌に寄稿されたエッセイに「いい父親の元に生まれて本当に良かった」とお書きになっていて、そう言い切れること自体が素晴らしいなと。他者への感謝の気持ちが、笠原さんのお店にもにじみ出ていて、予約がとれないお店には理由がちゃんとあるんだなと思いました。

笠原 本当は、予約がとれるお店になりたいんだけどね。これだけメディアに出ているのに、行ってみたいと思ってもすぐに行けないわけですよね。本当に申し訳なくて、それがジレンマですよ、俺の。

――お店やプライベートの枠を取っ払って、これからの目標はありますか?

笠原 「日本代表に選ばれたい」という想いは、ずっと諦めてないかな。日本料理で日本代表というのもおかしいかもしれないけど、例えばどこかの国の大統領が来てくれて、「賛否両論」で食事をしてくれるとか。以前、アメリカのオバマ大統領が「すきやばし次郎」で会食をしたニュースがあったけど、各国首脳がここのカウンターにずらっと並んで、「サミットの食事は笠原が担当」とかね。

プライベートの目標は、残りの人生で全国のいいサウナに行くこと。親父がサウナ好きで、子どもの頃から連れていかれてたんですよ。サウナの作法? そんなのないよ。どちらかというと、作法なんてないような世界。

撮影 榎本麻美/文藝春秋

(プロフィール)
かさはら・まさひろ/1972年9月3日、東京都生まれ。3歳のとき、両親が品川区武蔵小山に焼き鳥店「とり将」を開き、その背中を見て育つ。高校卒業後「正月屋吉兆」で9年間修業を積み、父の死をきっかけに家業を継ぐが、30周年を機に一旦閉店。2004年、恵比寿に「賛否両論」を開店し、予約のとれない人気店として話題になる。2013年、名古屋直営店をオープン。2023年6月に開設したYouTubeチャンネル「【賛否両論】笠原将弘の料理のほそ道」は、わずか3カ月でチャンネル登録者数30万人(2023年9月現在)を超える。2023年9月12日に発表された「第10回料理レシピ本大賞 in Japan」では、『和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず』(主婦の友社)が「入賞」、『笠原将弘の 毎朝 父さん弁当』(KADOKAWA)が「ニュースなレシピ賞」と、ダブル受賞を果たした。10月2日には最新刊『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』(主婦の友社)が発売予定。

「地味な汁ほどウマいんだよ」大人気料理人・笠原将弘(51)があなただけに教える、みそ汁が驚くほど旨くなるコツ〉へ続く

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