日常の中に小さな運動を取り入れる

健康にいい運動をするコツは、比較的軽めに、その代わり継続的に行うことです。心肺機能や関節などに問題がないことが前提ですが、例えば晴天の日だけ、少し息が弾むぐらいの早歩きで散歩するだけでも十分です。

これなら、無理をしなくても続けられるのではないでしょうか?

あるいは仕事等で忙しいなら、週末だけ軽くジョギングしてみるとか、通勤電車のひと駅分を歩いてみるとか、なるべく早歩きをするとか、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を上るといった感じでもいいと思います。

階段を上る女性
写真=iStock.com/KEN226
※写真はイメージです

日常の中でも、機会を見つけて小さな運動を取り入れることはできるはずです。

ちなみに私も、朝の出勤時は研究棟の4階にある研究室まで、エレベーターを使わずに階段を一段飛ばしで駆け上がることを習慣にしています。

血流を上げて身体とともに脳を目覚めさせるためです。ほんのわずかな運動ですが、一日のウォーミングアップとしてはこれで十分でしょう。

クルマ依存を避け、歩ける距離は歩く

一般に、「一日30分は運動したほうがいい」とよく言われています。

この「30分」に医学的根拠がないこともありません(血中の脳由来神経栄養因子が出るにはこの程度の運動でもよいのです)。

また、「この程度なら続けやすい」という意味でも、これは理にかなっていると思います。それも、連続で動く必要はなく、トータルで30分運動すればいい、というのが通説です。

ただし、5分ずつ小刻みに動くよりは、それなりに長い時間を集中的に動いたほうが効果的です。

この点について、いささか心配なのは都会よりも地方で暮らしている方々です。

例えば東京で生活すると、電車や地下鉄網が発達している分、自宅から駅まで、駅から会社まで、よく歩くことになります。あるいは近くのコンビニにも、歩いて行くのがふつうでしょう。

ところが地方の場合、圧倒的にクルマ社会なので、その分だけ歩く機会は少なくなります。クルマを使うことにあまりにも慣れてしまっているため、自宅からほんの100メートル先のコンビニにさえクルマで行こうとする、そういう生活をしている方も珍しくないようです。

たしかに便利ではありますが、これが「健康にいい」とは言えません。できるだけクルマ依存を避け、歩ける距離は歩くという心がけも重要だと思います。