30代で結婚するも3年で破局 結婚生活も仕事も失った

吉田さんは大学卒業後、一般企業に勤め、20年ほど働いた。その間、仕事関係で付き合いのあった男性と30代後半の時に結婚をしたが、3年で破局。結婚生活がうまくいかなかったことや、仕事での人間関係に行き詰まり、次第に心の状態が悪くなった。仕事を継続することができなくなり、40代前半で退職をした。

退職してからしばらくは、自宅療養をしていたが、1年後に契約社員として、再び働き始めた。ところが、その仕事でも職場の人間関係に悩み、2年ほどで退職。その時点で吉田さんは40代半ばを迎えていた。

契約社員の仕事を辞めてからの吉田さんは、外出することもままならなくなった。途中、アルバイトをしようと試みるも、数日で行けなくなり、結果的に10年くらい、ひきこもり生活を続けることになってしまった。

両親を亡くしパートで生計を立てるように

吉田さんがひきこもりを続けているあいだに、両親とも他界。二人とも、吉田さんの今後の生活についてずっと心配をしてくれていた。親が存命中に、再び働くことはできなかったが、50代半ばを迎えた頃から、少しずつ社会復帰ができるようになり、現在は住まいから自転車で通える範囲の飲食店2店でパートとして働いている。

1店目はランチタイムで週に5回、もう1店はディナーの時間帯に週に2~3回の勤務。どちらの店舗も2~5時間程度と、勤務時間は短く、不規則だが、1つの店舗で長く働くと、人間関係などで行き詰る可能性があると考えて、現在の勤務スタイルを選んでいる。

地下街を出る女性のシルエット
写真=iStock.com/olaser
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前述の通り、家賃の負担がないことから、月々の生活費は収入内で収まっている。手取り月収は11万~13万円に対して、支出は食費2万5000円、水道光熱費2万円のほか、国民健康保険料などで計10万6000円。

滞納していた期間の国民年金保険料も1万7000円弱支払っているが、63歳からは「特別支給の老齢厚生年金」が受け取れるため、年金を受け取りはじめたら、国民年金保険料の支払いはストップする予定。国民年金保険料の支払いがなくなれば、パート収入内でいくばくかの貯蓄ができる予定で、特別支給の老齢厚生年金を受け取っても仕事はやめず、年金は貯蓄していくつもりだそうだ。