岡山県は人口10万人当たりの交通事故死者数が3.94人(2022年)と全国最悪となっている。どこに問題があるのか。岡山出身のライター、昼間たかしさんは「岡山県では、ウインカーを出さずに車線変更や右左折する車が多い。こうした危険な運転が後を絶たないのは、岡山人の気質が関係しているのではないか」という――。
ウインカーレバーに伸びる手
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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なぜ「岡山ルール」は広まったのか

「岡山ルール」という言葉がある。全国各地で運転マナーの悪さが目立つ地域では、それぞれ地名を用いた呼称がある。

もっともよく知られるのは「名古屋走り」だろう。交差点で信号機が黄信号になっても、止まることなく進入、時には赤でも侵入する行為がその典型として知られている。

「岡山ルール」も、同じく運転マナーの悪さを示す言葉だが内容が異なる。

典型的な「岡山ルール」とされるのが、交差点で曲がる時にウインカー(方向指示器)を出さない。あるいは、曲がる直前に一瞬だけ出す行為のことである。もちろんクルマが曲がる時にウインカーを出さないのは、明確な道路交通法違反(合図不履行違反)である。

ウインカーの使用方法
右左折……交差点などで右左折しようとするときは、右左折する地点の30メートル手前からウインカーを点滅させ、右左折が終わるまで点滅させる。
車線変更(進路変更)
車線変更(進路変更)をする3秒前にウインカーを点滅させ、車線変更(進路変更)が終わるまで点滅させる。
※このほか、転回、徐行、停止、後退においても行為開始から終了まで点滅させる。

免許を取得する際に自動車学校で教わる基本中の基本、にもかかわらず岡山人はウインカーを出すことを拒むのだ。

日本でいちばん「ウインカーを出さない県」と言われるワケ

JAF(日本自動車連盟)が、2016年に実施したアンケート調査(全国6万4677人が回答、うち岡山県内在住者970人)で「方向指示器(ウインカー)を出さずに車線変更や右左折する車が多い」という設問に、岡山県では53.2%が「とても思う」と回答している。全国平均は29.4%で、岡山県が全国で最も割合が高かった。

さらに「あなたのお住まいの都道府県の全般的な交通マナーについて、どう思いますか?」という設問で「悪いと思う」と回答したのは44.1%、「とても悪いと思う」は14.5%。いずれも、全国平均をはるかに超えた。

2020年にJAFが実施した「信号機のない横断歩道」での一時停止率は、岡山県が7.1%だった。宮城県の5.1%、東京都の6.6%に次ぐワースト3位だ。全国平均の21.3%の約3分の1である。