また、横断歩道がないのに道路を横断する人が多い地点では「横断注意」を対処した看板を設置している。最近は各地で見るようになった、信号無視しようとすると警告音声が流れる信号機も、2012年に岡山で初めて設置されている。

岡山県「道路標識と道路標示」より
出典=岡山県警 交通部交通規制課「道路標識と道路標示

その結果が2022年の人口10万人当たりの交通事故死亡者数は3.94人となったのである。前述のように1997年は11.6人だったのだから激減ともいえるが、依然として47都道府県で最悪であることは間違いない。

やはり、全国ワーストの原因は岡山人の気質に拠る部分が多いのではあるまいか。

【図表】2022年の人口10万人当たりの交通事故死亡者数 都道府県別ランキング 警察庁「令和4年中の交通事故死者数について」より
出典=警察庁「令和4年中の交通事故死者について」の「3都道府県別交通事故死者数」より作成 

県警本部長「取り組みはまだ道半ば」

運転マナーの悪さは、岡山県議会でも度々取り上げられている。2020年2月の県議会では県議が、前述のJAFが実施したアンケートを採り上げ「メディアでも,岡山走りと紹介されるほどであります」と指摘した。

これを受けて、桐原弘毅・県警本部長(当時)は「岡山県に限ったことではありませんが、自動車等の運転はちょっとした不注意やささいなルール違反が重大な結果を招く危険があるにもかかわらず、その意識が足りないドライバー等が少なくないと感じており、交通マナーアップの取り組みはまだまだ道半ばであると考えております」と、まだ対策が不十分であることを認めている。

実にこうした答弁は、過去県議会で幾度も繰り返されているのだが、岡山人の運転マナーが改善する気配はいっこうにない。

むしろ「昔に比べると、だいぶマシになった」とすら思っている。

これはある意味事実である。昭和後期から平成初期にかけては、岡山では飲酒運転も大きな問題として取り上げられている。この頃は全国的に飲酒運転への意識が低かったことを記憶している人も多いだろうが、岡山はかなり意識が低い。1991年12月の岡山市議会の会議録には、最近の不祥事の例として「職員が飲酒運転で検問から逃走」という発言が記されている。しかも処分は停職5カ月である。ウインカーどころではない、危険な運転がはびこっていたのは容易に想像ができる(しかし、それが当たり前だったためか筆者には危険だったという記憶はない)。

なぜ、メディアで恥が報じられ、啓発活動がおこなわれても岡山人の運転マナーは改善しないのか。岡山人に運転マナーの話題を振ると、ウインカーを出さないことなど、よく知られる問題点を語った上で、こういうのだ。

「でも○○ナンバーのクルマは、もっと酷い」