最適なのは7〜8時間、眠り過ぎてもいけない

認知症の中でも代表的な「アルツハイマー型認知症」は、脳内に「アミロイドβタンパク質」と呼ばれるアミノ酸からなる老廃物がたまることが原因で発症すると考えられています。この老廃物がたまり、脳の神経細胞が死滅することで、認知症が進んでいくのです。

概日リズムは概日時計または体内時計によって制御される
写真=iStock.com/nambitomo
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睡眠には、認知症の要因となるアミロイドβタンパク質を除去する働きと、日々の記憶を定着させる働きがあります。

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アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の調査によれば、睡眠時間が6時間以下のグループがアミロイドβタンパク質の沈着が最も多く、睡眠時間が7時間以上のグループが最も沈着が少なかったとの結果が出ています。

ただ、「睡眠が長ければ良いのか」というとそういうわけでもないようで、睡眠時間が9時間を超える場合は認知機能に異常をきたすという研究もあるので、一日に7〜8時間の睡眠が認知症予防には望ましい睡眠時間と言えるかもしれません。

高齢者になればなるほどに、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が悪くなったりするため、なかなか7〜8時間も連続して眠れないという方も多いでしょう。その場合は、無理に一度に眠る必要はなく、細切れでもいいので、できるだけ睡眠を取るように心掛ければ、脳に良い影響をもたらすはずです。

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