そのままの自分を受け止める

大事なのはありのままの自分を受け入れることです。学歴なら、たとえば「大学に行けなかった自分」を認め、「大学に行けなかったことを悔しい、恥ずかしいと思っている自分」を認めます。ああ、自分はこれに劣等感を持っているんだなと、そのまま受け止めればいいのです。これを「自己受容」と言います。

子どもに対して高圧的になりがちな人は、まず、「自分はどんな劣等感やコンプレックスを持っているのだろうか?」と考えてみてほしいと思います。

そして、受け入れる努力をすることです。認めたくないという気持ちが湧き上がってくるかもしれませんが、認めて大丈夫です。認めたからといって誰かにおとしめられることはありません。「ああ、こんな劣等感を持っていたのだなぁ」と思うだけでいいのです。それだけで大きく違います。

劣等感は必ずしも悪いものではありません。劣等感は頑張って何か行動を起こそうとするときのエネルギーやバネになります。同じように劣等感を持つ人の気持ちがわかり、思いやることもできるでしょう。周りから見れば、そのコンプレックスが魅力になることもあります。

部屋で座り込む男児
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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劣等感がなく、優越感ばかりだったら……と考えてみてください。そちらのほうが怖いですよね。

成功ママのやり方を真似するリスク

子どもの能力を最大限に伸ばすことは親の務めであり、子どもの自主性にまかせるのではなく、親が必要なものを見極めてやらせるべきだ、と考える人もいます。こういった信念のもとでは、高圧的な子育てに傾きます。

たとえばこんなふうに親が学習を設定し、管理しているとします。

「毎日、ドリルを5ページ分やる。読書は1時間で、英語の本を読む時間を必ず入れること。ピアノの練習は30分。そのほか課題を設定して、クリアするまで頑張らせるようにしています」

それで本当にうまくいっているのならいいと思います。子どものタイプもそれぞれで、親が設定する目標にうまくのっかりながら、「自分はこれだけ頑張って来たんだ」と自信をつけていく子もいます。スパルタ式の教育法で大きく力を伸ばす子だっているのです。実際、スパルタ式教育が有名な中国では、それにより多くのエリートが輩出している面もあるでしょう。

ただ、すべての子に合うわけではありません。高圧的に偏れば、いずれどこかに問題が出てくるほうが普通です。成功談にまどわされないことです。子育ての成功談は、1つのケースであって、みんなに当てはまるものではありません。

「この成功したママみたいに、課題を設定してやらせたほうがいいのかな。やらせるためには多少高圧的になるのもやむをえないな」などと思う必要はないということです。