視察受け入れを有料化すれば、もっと真剣になる

国内でもよく似たもので、地域の実情と施策の現場は見てほしいが、沖縄に在勤していた頃、3月の年度末に来る大量の出張者は悩みの種だった。

そこで、到着便を1週間にひとつ指定し、全員を集めて沖縄の歴史や政治・経済の研修を受けさせ、バスに乗せて産業視察と戦跡観光(それを無駄だという人がいたら価値観の違いだ)を一通りさせ、そのうえで、それぞれ個別の視察や意見交換をすると合理化して、結構好評だった。

近年は、地域おこしの視察者への説明を有料化しているところもあるが、正しいと思う。そのほうが説明する側もされる側も真剣になる。

「やっぱり女性はダメだ」が結論でいいのか

それから、今回の視察は「自民党女性局」だったから炎上した面もある。女性政治家はちやほやされがちだが、ひとつ攻撃材料がみつかるや、襲いかかってリンチし、「やっぱり女はダメだ」とされる。

とくに保守派といわれる女性政治家に対しては、仲間内からの攻撃がすごい。LGBT問題では、問題提起した杉田水脈氏が攻撃されても冷淡な政治家が多かったし、稲田朋美氏に対する裏切り者呼ばわりと落選運動もひどかった。

今回の松川氏に対する攻撃も、韓国駐在経験がある松川氏が、尹錫悦政権を支援することを主張していることに嫌韓派が攻撃をエスカレートしてきたなかで起きた事案だ。そして、次は森まさこ議員がターゲットになっているらしい。「ブライダル補助金」がテーマだが、本当の理由はLGBT法案を推進したからだ。

また、女性政治家に対しては、党幹部から「弁解するな」と圧力が強くかかることがあり、気の毒なことだ。厳しく高圧的に接すれば女性を黙らせることができると思うベテラン政治家も多い。いまさらであるが、安倍元首相はそういう面が全くない人だった。

今回の炎上を受けて、「視察はダメだ」「女性はダメだ」という結論にもっていくのはどうかと考える。そうではなく、より中身のある視察を行うにはどうすればいいか、について議論を深めることこそ前向きな対応だ。

【関連記事】
今井絵理子議員は令和のマリー・アントワネットか…政治家が空気を読めないSNS投稿をしてしまう根本理由
難民政策は「日本モデル」を手本にする…ドイツで悪魔扱いされている極右政党の支持率が倍増しているワケ
増税地獄で支持率はどんどん下がっているのに…自民党内の「岸田おろし」が盛り上がらない根本原因
「男女平等は反道徳の妄想である」自民党の女性議員がそんな“女性を貶める暴言”を繰り返す根本原因
このままでは「マイナンバーカード」が次々に失効していく…政府が"保険証廃止"を強引に進める本当の理由