「超圧縮」書き込み術

<strong>上村和彦</strong>●1965年、大阪府生まれ。88年、京都府立大学農学部卒後、アサヒビール入社。以来生産畑を歩む。昨年4月より酒類開発研究所ビール開発部長。2人の子どもと、毎月のようにテーマパークへ出かける子煩悩な一面も。
上村和彦●1965年、大阪府生まれ。88年、京都府立大学農学部卒後、アサヒビール入社。以来生産畑を歩む。昨年4月より酒類開発研究所ビール開発部長。2人の子どもと、毎月のようにテーマパークへ出かける子煩悩な一面も。

バイブルサイズのシステム手帳を15年前から愛用している。通常は会社のデスクに置いておき、出張時を除いて社外へは持ち出さない。スケジュール管理に使っているのは、月間見開きタイプのリフィルである。

「以前は取引先にもらう1週間見開きタイプの小型手帳を使っていました。しかし役職に就いて週をまたぐ中長期のスケジュールが増えてくると、全体を俯瞰できない不便さを感じるのです。それにはある程度の大きさが必要なので、このタイプに決めました」

スケジュールの大部分を占めるのは、工場と行き来しながら商品開発を進めている部下たちとの打ち合わせ。ただし、ここでは「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)のうち報告はきっちりとさせますが、連絡・相談については形式だけでいい」と決めている。

上村和彦さんはもともと開発畑ではなく、主に工場の生産技術を担当してきた。だから「開発については部下のほうが詳しいので、口出ししないようにしているんですよ(笑)」。だが、それよりも大きな理由がある。それは、現場で解決すべき小さな問題にとらわれず、「試作品の味をどれに決めるか」といった部長本来の仕事に専念するためだ。

手帳は、メーンのファイロファックスと官能(食味)検査記録用、日記用の3冊を駆使する。機密情報を含むメーンと検査用は社外へ持ち出さず、社外では日記に加えて携帯電話をフル活用。携帯のメモ機能は上限の50件を使い切るほどで、仕事にもプライベートにも多用している。

手帳は、メーンのファイロファックスと官能(食味)検査記録用、日記用の3冊を駆使する。機密情報を含むメーンと検査用は社外へ持ち出さず、社外では日記に加えて携帯電話をフル活用。携帯のメモ機能は上限の50件を使い切るほどで、仕事にもプライベートにも多用している。

手帳にはほかに打ち合わせのメモを取るページと資料を縮小コピーして綴り込んでおく部分があり、メモ部分は分類をせず時系列で書き溜めていくやり方だ。白紙のリフィルを手書きの線で左右に分け、縦長の空間をシャープペンシルの細かい文字で埋めていく。

放っておけばメモや資料はどんどん増える。そこで基本的には3カ月たったら手帳から外し、市販の書類ケースへ放り込んでいく。ファイルするのではなく、年単位で同じポケットへ入れるだけというシンプルな整理法だ。

過去の記録や資料がどうしても必要になる場合があるが、社内での打ち合わせならケースごと持ち出せばいい。出張のときは、ケースから関連のメモや資料を取り出して手帳本体へファイルして持っていく。

メーンのシステム手帳のほか、上村さんはダイエット管理手帳を兼ねた日記帳と官能(食味)検査手帳を持ち歩いている。読書メモや将来の夢などプライベートな事柄は日記帳に記入する。その際もシャープペンシルで、スペースを節約するように書き込むのが上村流だ。

日記帳として使っているのは、毎日の月の満ち欠け図や占いが入ったB6サイズの手帳である。「月は地上から見て形を変える唯一の天体。自宅マンションの風呂の窓から月を眺めるのが好きなんですね。占いも嫌いじゃありません」。

好奇心旺盛な上村さんは、アロマや競馬にも凝っている。北海道の牧場へ競走馬を見にいったこともあるという。プライベートが充実しているのは、スケジュール管理がうまくいっている証拠。アロマや競馬は仕事にも好影響をもたらしている。メリハリのきいた時間管理がオフでの充足を呼び、それがまたオンに還る。理想の好循環を生んでいるのである。