「自身の原体験」と「企業の独自性」をセットで語る
もちろん、自身が心から理念に魅力を感じて志望したのであれば、正直に伝えてOKです。ただし、「理念がすばらしいと思いました」で終わらせず、その理念とリンクする自身の原体験エピソードを交えて話しましょう。
「御社の『困り事を解決する』という理念に共感しました」
「では、あなたは誰かの困り事を解決したことがあるのですか?」
「いえ、特にはありませんが……」
「では、あなたは誰かの困り事を解決したことがあるのですか?」
「いえ、特にはありませんが……」
これでは納得はされません。
「○○が○○で困っている時、○○という工夫をして問題を解決し、○○という成果につながり、喜んでもらえたことがとてもうれしかったのです。以来、困り事を解決することで信頼を獲得していく働き方にこだわっています。御社のサービスは○○の課題解決に非常に効果があると考えており、同業他社のサービスと比較しても○○という点で優れているので、ぜひ手がけてみたいと思いました」
このように、応募先企業に共感を覚えた「原体験」+「その会社の独自性」をセットで伝えられれば、納得を得やすくなります。企業側は「生き生きと働いてくれそう」と、活躍イメージを描くことができるでしょう。
最近は「SDGs」の概念が広がったこともあり、「社会貢献」をキーワードに転職先を選ぶ人が多く見られます。
しかし、安易に「御社は社会貢献性が高い事業を手がけているので」と語ると、落とし穴にはまることがあります。
「社会貢献への意欲があるなら、これまであなたはどのような社会貢献の活動をしてきましたか?」と突っ込まれたとき、答えに詰まってしまう人は多いのではないでしょうか。
抽象的なテーマを語るには、やはり根拠となる体験エピソードが必要なのです。
未経験業界への転職を可能にした志望動機
「志望動機」で採用担当者の心をわしづかみにし、未経験業界の企業に採用された方の事例をご紹介しましょう。
Aさん(30代後半)はヘルスケア企業で事業部長を務めていた方。社内評価が高かったにもかかわらず、これまで縁がなかった教育企業に応募しました。
企業側は、「なぜこんな経歴の方が、この年齢でわざわざ未経験業界へ?」と不思議に思いながらも面接を実施。そこでAさんが語った志望動機に納得したのです。
「子どもが3人います。この子たちが明るい未来を生きられるように、親として何ができるかを考え続けてきました。その結果、先行きが不透明なこれからの時代、親が何かを与えるのではなく、子どもたち自身がどんな環境でも強く生き抜いていける力を身に付けることが大事だと気付いたのです。これは社会全体で重要なことだという思いが強くなり、教育業界に興味を抱きました。中でも御社の○○という教育方針を知り、これを広めたいと考えました」
Aさんの思いを受け止めた企業は、業界未経験ながら新規事業開発のポジションで迎えたのです。