閉経後は女性の人生の黄金期

性的な加齢を緩やかにするのも、漢方が目指す「元気で長生き」の一環です。更年期の前後を最大限穏やかにして、静かに着地させる。それは漢方的な養生を実践することで可能になることを、女性たちに広く知ってもらいたいのです。

邱紅梅『生理痛は病気です』(光文社新書)
邱紅梅『生理痛は病気です』(光文社新書)

私は女性が様々な経験を積み、精神的に最も充実するのは、60代、70代であると考えています。

それまでは、ホルモンの波に翻弄ほんろうされながら、育児や仕事などに時間や気力や体力のほとんどを使ってきたことでしょう。しかしその後は、閉経を穏やかに迎えることで、ホルモンの波に振り回されるときは終わります。実生活でも、仕事や育児に一段落つき、ようやく様々なしがらみから解放された人生の黄金期がやってくる。そう思います。

そのときに、生理の荒波にもまれるままに過ごしていたツケで、心身がボロボロだったら、せっかくの黄金期が台無しになってしまいます。閉経後も肌、骨、筋肉ともにしっかりと保ち、気持ちも充実している最高の状態で、黄金期を満喫してほしいのです。

そうお伝えすると「おばあちゃんになってから黄金期なんて……」と自嘲気味に否定する女性がいますが、そんなことはありません。私のところに通ってくれている女性たちは、閉経を迎えると生まれ変わったように元気になり、趣味に、旅行にと、生き生きと飛び回っています。

元気な高齢女性
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

自分のやりたいことがやれる黄金期を迎えるためにも、生理を荒波ではなく、穏やかな凪にできるように、漢方でコントロールしてほしいと思います。

【関連記事】
【第1回】「ジーンズが赤く染まるほどの過多月経」婦人科医が見た痛みと貧血でフラフラでも働く日本人女性の異常
うつは処方薬では治らない…うつ病になった精神科医が「7年間の闘病生活」から抜け出すためにやったこと
「私は別に普通だし」という人は危ない…ずっと「いい子」を続けていると30歳を超えて苦しくなるワケ
「顔で笑って心で泣く」がベスト…自律神経の名医が教える「医学的にやってはいけない」5つのNG行動
子どもに月経や射精について話すときに「絶対使ってはいけない言葉」2つ