メンタルの不調を改善するにはどうすればいいのか。7年間うつ病に苦しんだ精神科医の宮島賢也さんは「患者さんと同じように処方薬を飲み続けたが、うつは治らなかった。うつのトンネルに光が見えたのは、食生活の改善がきっかけだった」という――。

※本稿は、宮島賢也『メンタルは食事が9割』(アスコム)の一部を再編集したものです。

黒と白の水の反射で濡れた街の通りの歩道で夜に立っている男のぼやけた影とシルエット
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薬では患者のうつも、自分のうつも治らなかった

精神科医である僕も、長くうつで苦しんだひとりです。

うつ病と診断されたのは、2000年のことです。それから7年間、処方薬を飲み続けましたが、うつ状態はよくなりませんでした。その間、精神科医としてうつの患者さんに同じように薬を処方しましたが、やはり、ほとんどの患者さんを治すことができませんでした。

自分がうつになり、薬を飲み、また多くの患者さんに薬を処方する中でわかったことがあります。それは、「うつは薬では治らない」ということです。

薬を飲めば不安や落ち込みが麻痺しやすくなりますが、対症療法ですから、寛解しても多くは再発します。私の場合は薬を飲むことで不安が麻痺することもありましたが、家族と一緒にいるときの幸せも感じにくくなった気がします。

さらに、その場の気持ちを抑えてくれても、原因は解決できていないので一向に治りません。それが私の7年間でした。

原因を取り除かなければ、完治できるはずがない

大きな原因といわれるのがストレスです。

ところが、世の中には、同じストレスがかかっても、うつになる人とならない人がいます。物事をどうとらえるか、自分をどう見つめるか、そうした心のあり方によって、うつになるかどうかが決まるというわけです。「もう自分はダメだ、未来がない」と思えば、心身の状態はうつへと向かいます。

僕の場合はどうだったかというと、医師としての自分に自信が持てないから診察するときはいつもびくびく、将来に向けては不安だらけ。そんな心の状態がうつへの引き金になりました。

それなら、物事をネガティブにとらえがちな心を変えればいいじゃないか、ということになりますが、それがとても難しいのです。