治療院を訪れる患者さんを診ていると、基本の動作にさまざまなクセがあることに気付きます。硬くなった全身をときほぐし、柔軟性のあるカラダを取り戻すためにいちばん大切なことは、からだが間違えて覚えた姿勢や動きを「理に適った動作」に正すことです。
日本古来の武道「合気道」をご存知でしょうか。合気道の達人は、自分よりも大柄な相手をいとも簡単に投げ飛ばすことができます。その理由は、合気道は体を動かす上で、理にかなった姿勢、動作、力の使い方をしているからです。
古来、武道では、理にかなった姿勢、動作、力の使い方を「理合」と呼んでいます。なぜ、私がこのような話をしているのかというと、腰やヒザに問題を抱えて訪ねてきた方々は一様に、理合どおりに体を動かせておらず、無駄な筋力を使って歩いていたからです。
疲れない歩き方のイメージは「抜き足、差し足」
では、体に優しい疲れにくい歩き方とはなんでしょうか。
ポイントは、次の4つです。
①骨盤幅(骨盤の横幅)で歩く。
②前に踏み出す足は、そっと引き上げ体の少し前に下ろす。
③かかとからではなく、足指で地面をつかむ感じで、足裏全体で接地。足を引き上げる際には足首を伸ばす。
④つねに着地する足に重心を置き、このとき、耳、肩、骨盤、着地した足を直線状にそろえる
②前に踏み出す足は、そっと引き上げ体の少し前に下ろす。
③かかとからではなく、足指で地面をつかむ感じで、足裏全体で接地。足を引き上げる際には足首を伸ばす。
④つねに着地する足に重心を置き、このとき、耳、肩、骨盤、着地した足を直線状にそろえる
この歩き方ができるようになれば、体の硬化を防ぐことができます。イメージしづらい場合は、忍びの歩き方を例える際によく使われる言葉「抜き足」「差し足」を、頭の中に浮かべてみてください。そうすると、自然とつま先からの着地が意識できるようになるはずです。
はじめは歩きにくさや、違和感を覚えると思います。ですが、それは間違った歩き方を何十年と続けてきてしまった結果です。だんだんとこの歩き方ができるようになってくると、疲れにくくなっていきます。
かかとから着地する歩き方をしている人は、ふくらはぎにダルさを感じていることが多いですが、それも改善していきます。
こりかたまってしまった筋肉も、ただ歩いているだけでほぐれていくでしょう。