「かかと着地=正しい歩き方」という誤解

あなたは普段歩くときに、かかとから着地していますか? それともつま先ですか? もし、かかとから着地していたら、すぐに見直す必要があります。かかとから接地して、そのあとに母指球に重心を移して足を上げる動作を「正しい歩き方」だと思い込んでいる方が多くいるのですが、そうではありません。

かかとから足裏を着地する形で歩くと、「浮き指」と呼ばれる足の指が浮いた状態になります。これが続くと足首が固定されたままになり、ふくらはぎは常に緊張した状態に陥ります。本来であれば地面に着地した際の衝撃は、まず足首がクッションとなり、次にひざが受け止めてくれ、そして腰に、という流れで分散をしていきます。

それがかかと着地により足首が固定されることで、膝は伸びたままの状態になり、十分なクッションが働かず、衝撃が腰にもろに来てしまうのです。何度も衝撃を強く受けることで骨格のバランスも狂っていき、腰やヒザに過度な負担が一歩踏み出すたびにかかり、痛みの発症にもつながっていきます。

また、大股で歩くとかかとへの衝撃が強まり、足首の角度もさらに鋭角になるため疲労感が増し続けることになります。その結果さらにふくらはぎをガチガチに硬くさせたり、ひざ、腰の痛みを発生させるケースが多いのです。

歩き方を正さない限り、ガチガチになったからだにいくらストレッチやマッサージをしても意味がありません。

ウォーキングする人の足元
写真=iStock.com/playb
※写真はイメージです

腰や膝を痛めてしまう人の共通点

私は30年以上、「動作解析」という分野を研究しています。人の体の使い方を観察・記録して、運動学や解剖学、物理学に沿った「人体構造に合った正しい動作」を検証し、治療院を営みながら、普段はスポーツ選手のケアやからだのサポートをしています。

立ち方、歩き方、座り方などの基本の動作を筆頭に、一つひとつの動きには必ず、カラダにとって最適な動かし方や体勢があります。それらを外れるとカラダに無理を強いることになり、時間の経過とともにやがて違和感や痛みとなって現れます。