「お母さんはこうするべき」の期待値が高すぎないか
その上で、この状況をなるべくフラットに考えてみてほしいんです。
もしこれが「バレエが好き」「野球が好き」というお子さんだったら、どうでしょう。バレエや野球の経験がないお母さんならば、教えてあげられないのは当然ですよね。子どもに機会を与えたいと思うのならば、バレエレッスンや野球教室を探したりするでしょう。つまり、ボードゲームをやってこなかったお母さんなら、外でその機会を探せばいいんです。
ただ、この数年はコロナ禍でそれもままならない状況もあったのかもしれません。家の中での過ごし方について、悩んでいらっしゃったクライアントの方も多かったからです。「子どもが動画ばかり観ている。もっと外で遊ばせるべきでしょうか」ともよく聞かれました。
しかし、私はこの場合でも、回答の基本は同じなんです。まずはお母さん自身の「自責スイッチ」をゆるめること。休んで、エネルギーを回復させることです。
その上で、「お母さんはこうするべき」「子育てはこのくらいできるべき」の期待値が高すぎていないか、現実とズレていないか、クールに考えてみてほしいのです。
コロナ禍の子育ては、難しかった。つまり、つらい戦場だったのです。だから、親も子も不満を持ちながら過ごさねばならなかった。それは仕方のないことです。親の子育てのせいではないのです。
どうして動画を見せてはいけないのか
ちなみに、今、子育て中の方々には「時代のズレ」をしっかり加味してほしいと思います。
たとえば、「子どもについ動画を観せすぎて罪悪感がある」と悩む方に、私はいつも、
「え? どうして観せてはダメなの?」
と答えてしまいます。
すでに社会は、活字ではなく、Webや映像がメインの世界へと移行しました。今やメタバース(仮想空間)で商売をしたり、暮らしたりしている人も出てきています。そんな時代に、動画に親しんでいなければ、1歩も2歩も遅れて、お子さんは将来の仕事のチャンスを狭めてしまうでしょう。
YouTubeを子どもが大喜びで観て、お母さんもその間はラクになって休めるならば、双方がハッピーで、メンタルヘルス的にはとても好ましい状況だとも言えるんです。もう動画はジャンジャン、おおいに観せたらいいんです……と言うと、ちょっと引いてしまうお母さんもいらっしゃいますが(笑)。