アプローチも「テコの原理」を意識する
日本ではアマチュアゴルファーに向け、アプローチもショットの延長で、“ボディターン主体で打つ”と教えることが多いようですが、欧米ではそれはありません。簡単にいうと、“手と腕も積極的に使う”と教えられます。日本ではもっぱらネガティブワードとされる“手打ち”も推奨されます。もちろん結果的にボディはターンしますが副産物にすぎないというわけです。
手と腕で打つとは、ある程度テコの原理を使ってクラブを操作することを意味しています。
たとえば、右手を支点、左手を力点としましょう。アドレスの体勢で力点である左手を下に押し込んで手首を縦(親指方向)に折ると、作用点であるクラブヘッドがスッと上がります。テコの原理を使えば重いヘッドも難なく上がる。
同時に両腕を右に振ればテークバック、右肘を緩めるとバックスイングになります。アプローチはこれさえできれば対応できるジャンルで、それが欧米で腕と手で打つといわれる所以です。
ついでにいえば、腕を伸ばしつつ縦に折った手首を解放して元に戻すと、クラブヘッドも上がったところからアドレスの位置に戻ってボールに当たります。重力に従って落下するヘッドはエネルギーを帯びていますから余計な力を加えなくてもボールは飛びます。フォローサイドでもテコの原理を使ってヘッドを上げればヘッドスピードはさらに上がります。
力加減は3割以下、「ゆるゆるグリップ」で握る
前置きが長くなりましたが、アプローチでもショットやバンカーショットのようにテコの原理を使って打つのが最もシンプルかつ確実です。ただし、利用するには絶対に欠かせない条件があります。それは、手首が親指方向に折れるようにしておくこと。いいかえればグリップをギュッと握らないことです。
ボディターンで打とうとする方の中にはグリップをキツく握り、クラブと腕でできる角度を固定し、腕さえも曲げずに体を回すだけの人がいますが、これではテコの原理は使えません。打てるかもしれませんがフェアウェイのような平らな場所でしか打てません。
私の場合、グリップは全力の3割以上の強さでは握りません。それ以上強く握るとクラブヘッドが動いてくれないからです。日本でいうところの“ゆるゆるグリップ”ですが、ゆるゆる感は人それぞれなので一概にはいえません。ただ、私が知る限り6割以上の強さで握っているプロは限られていて、平均するとやはり3割くらいだと思います。ちなみに、これはショットでも同じです。
グリップをゆるゆるで握ると肩から力が抜け、腕がダランとして振りやすくなります。脇も締まってクラブを操作するのに最適なセットアップになるのです。