ウクライナ政府は、ウクライナ軍のドローンがロシア軍の最新戦車T-90を攻撃し、さらにロシア軍による戦車の回収も阻止したと発表した。このときの模様としてウクライナ側はドローンがT-90戦車を攻撃する瞬間の映像を公開しており、安価なドローンが大きな戦果を上げていることについて「これが現代の戦争の形だ」とコメントしている。
ウクライナ国防省は7月12日、ソーシャルメディアへの投稿の中で、「第24機械化旅団の『ラログ』攻撃用ドローン中隊がロシア軍の最新型戦車『T-90』に打撃をもたらし、またさらなる攻撃によって同戦車の退避を阻止した」と述べた。ラログとは、スラブ神話に登場する火の悪魔の名前だ。
この説明と共に投稿されたドローン撮影の動画には、ロシア軍のT-90戦車が映っており(場所の詳細は不明)、その後に無人航空機(UAV)がこの戦車を攻撃する様子が映っている。その後、2機目のドローンが、1回目の攻撃で損傷を受けた戦車のすぐ近くを攻撃している。
ウクライナ国防省はツイッターに、「値段にして数千ドル相当のドローン2機で、300万ドル相当の戦車を破壊した」と投稿した。
ロシアは「画期的」T-90M戦車25台も失った
T-90戦車には幾つものモデルがあり、その値段を断言するのは難しい。最も高額なものは、1台あたり約450万ドルもするとされている。ウクライナ側は過去に、ウクライナ軍の兵士らがT-90戦車を狙って攻撃する様子を捉えた動画を公開している。T-90は、ロシアのその前の主力戦車であるT-72の改良版だ。
検証可能な写真や動画を元にウクライナ軍とロシア軍の装備の損失を記録しているオランダの軍事ブログ「Oryx」によれば、ロシアは2022年2月の侵攻開始以降、T-90A戦車を35台、T-90AK戦車を1台、T-90S戦車を7台失っている。またこれに加え、「画期的な」戦車だと称するT-90M戦車25台も失っているという。
だがロシア軍の損失に関するこの推定は控えめな数字だと考えられており、実際にはもっと大きな損失が出ている可能性が高い。
「現代の戦争とはこういうものだ」と、ウクライナ国防省は12日に述べている。今回の戦争では、ロシア側にとってもウクライナ側にとっても、ドローンが戦闘で重要な役割を果たしている。ウクライナ内務省のアントン・ゲラシチェンコ顧問は2月に本誌に対して、ドローンは「今回の戦いにおいて、まさにスーパー兵器だ」と語っていた。