公共職業訓練で失業手当が延長される

再就職に向けてスキルを身に付けたい場合に役立つ公共職業訓練。建築、電気、Webデザインなどさまざまな科目が、自費で専門学校などに通うよりずっと安く学べます。

そのうえ、公共職業訓練を受講していると、失業手当がもらえる期間が訓練終了日まで延長されます。

60歳以上65歳未満の場合、失業手当の給付日数は90~240日(雇用保険の被保険者期間により異なる)ですが、公共職業訓練を受けている間は、訓練終了日まで失業手当の支給が延長されます。

たとえば、失業手当で日額6000円、240日間受け取れる人がいたとします。この人がもらえる失業手当は6000円×240日=144万円です。

しかし、失業手当の受給期間を100日残して6カ月(180日)の公共職業訓練を受講した場合、この公共職業訓練が終わるまで失業手当をもらうことができるので、もらえる失業手当は6000円×(240日-100日+180日)=192万円と、48万円も増えるのです。

さらに、公共職業訓練では

・受講手当……1日500円(上限2万円)
・通所手当……最高4万2500円
・寄宿手当……月額1万700円

といった手当もあり、金銭的なサポートを受けながらスキルを身に付けられます。

マルチジョブホルダー制度で雇用保険に加入できる

複数の事業所に勤務する場合、1つの事業所だけでは雇用保険に加入できない場合もあります。しかし、「マルチジョブホルダー制度」を利用すれば、

・65歳以上で、2つ以上の事業所に雇用されている
・複数の事業所での1週間の所定労働時間が合計20時間以上であること
・雇用見込みが31日以上であること

を満たすことで、雇用保険に加入できます。これにより、複数の事業所で働く人でも雇用保険に加入しやすくなります。雇用保険に加入できれば、失業後に新たな職場を探すときに高年齢求職者給付金の受け取りができます。

定年前後にトクする手続きをまとめて紹介してきました。知識を身に付けたら、あとは実践するのみ。自分ができる手続きをもれなく行い、お金がたくさん残るようにしていきましょう。

【関連記事】
定年後の働き方は再雇用、転職、起業だけではない…専門家が「幸福度が高い」と勧める第4の選択肢
年金新制度で「70代まで我慢」がしやすくなったが…それでもFPが「66歳から受給がベスト」という理由
納付率4割台の国民年金は"破綻"している…厚労省が初の8割超と喧伝する「納付率」計算の騙しのカラクリ
70代以降に「イライラした高齢者」と「ニコニコした幸齢者」がはっきり分かれていく"ささいな理由"
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品