精子バンクのセミナーに独身女性の親が参加
「とにかく子どもが欲しいけれどどうしていいかわからない、という方がたくさんいらっしゃるんでしょうね。親御さんから相談を受けることもあります。シングル向けのセミナーに『娘のことで』とお母さんが参加されたこともありますし、オンラインセミナーで『親とリンクを共有したい』と問い合わせをいただくこともあります」
ヨーロッパでは、ネットを通して個人で精子提供者を探すといったことは、起きていないのだろうか。
「ありますが、日本よりはずっと少ないと思います。たとえばデンマークやフランスは、シングルを含むあらゆる女性が医療機関で精子提供を受けられます。保険適用のため治療費もあまりかからないので、個人で精子提供者を探すというリスクの高い方法に頼る必要がないのです」
精子バンクの利用をオープンに語る女性たち
日本でも精子バンクを利用して子どもをもつシングル女性はいるものの、社会の偏見があるためか、利用したと公表する人を見かけることは少ない。ヨーロッパでは、もっとオープンに語られているのだろうか。
「そうですね、2、3年前には、デンマークで大臣をしていたシングルの国会議員が、精子バンクを使って妊娠したと発表しました。賛否両論あったようですが、概ねその選択は尊重され、受け入れられていました。キプロス島でも数年前に、国会議員が選択的シングルマザーになったことを公表しています。
どこの国にも『子どもには父親がいなければならない』と思っている層はいるでしょうから、そういう人からの批判はあるでしょう。ただ、ヨーロッパは子育て支援が充実している国が多く、シングルで子育てをしても経済的に困窮することが少ないため、『子どもがかわいそう』という見方をする人は、日本と比べるとずっと少ないと思います」