「悪いことをしなさそうだという安心感」こそ危ない
中国と対話を重ねることで緊張関係を改善すべきなのに、逆に緊張を煽るような防衛費のけた外れな増額は一体何のためなのか。国民の誰一人として丁寧な説明を受けたことはないはずである。
多様性が尊重される社会を作るといいながら、同性婚の法制化をめぐる答弁の中で「極めて慎重に検討すべき課題」「家族観や価値観、社会が変わってしまう」と発言した。
当時の荒井勝喜首相秘書官は記者団の取材にオフレコで、「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」といった。あなたたちは多様性を尊重してなどいないではないか。
思わずトーンが上がってしまったが、岸田首相は悪相ではない。その辺にいる人のいいオッちゃん風の風貌に騙されてしまうのだ。世論調査でも岸田内閣を支持する理由の大多数が、「ほかにいい人がいないから」というものである。
彼の政策やビジョンが素晴らしいわけでも何でもない。悪いことをしなさそうだという安心感なのだが、こういう手合いが実は一番始末が悪いのだ。
話を息子の翔太郎氏に戻そう。彼が政務秘書になって最初のメディアの洗礼はFACTAオンライン(12月22日 12:00)だった。
極秘情報の流出、外遊先で観光三昧…
「『翔太郎氏の秘書官就任直後から、官邸内の極秘情報が外部に漏れている。疑われている流出先はフジテレビの総理番の女性記者。実に困惑している』(官邸周辺者)。
大手紙の政治部記者が解説する。
『政務秘書官だった山本高義氏が古巣の岸田事務所に戻り、代わって翔太郎氏が秘書官に就任したのは10月4日のことでした。その20日後の24日、旧統一教会の韓鶴子総裁との親密写真の存在が発覚して、去就が注目されていた山際大志郎経済再生相の辞任をフジがいち早くスクープしました。岸田首相が頑なに野党の辞任要求を阻んでいましたから、フジの速報に各社とも泡を食ったんです』。
山際氏の辞任は、その後の相次ぐ閣僚辞任ドミノの始まりとなった」
翔太郎氏が親しい女性記者に情報を漏らしていたというのであるが、真偽のほどは分からないままだ。
次は週刊新潮(2月2日号)。今年1月に欧米5カ国を訪問する父親に同行したが、首相を補佐するどころか、大使館の車を乗り回して名所観光やグルメ・買い物三昧だったと報じたのである。
「この旅程の間、翔太郎さんにはリエゾンと呼ばれる、現地での調整・連絡係の大使館員が常に付いていました。ですから、こうしたスタッフも“ご観光”に同行させられることになったんです。また、観光地巡りの度に大使館の公用車を出す必要があったため、それにも手間がかかる。各国の大使館員にとって大きな負担となっていました」(政府関係者)