人口減少が続く日本でも、挑戦しがいのある分野があります。①炭素中立型社会、②デジタル社会、③経済安全保障、④新しい健康社会、⑤災害に対するレジリエンス社会、⑥バイオモノづくり革命の実現という課題は、今後の成長市場と言えるでしょう。

世界的な社会課題を起点に、企業の投資先として日本が積極的に選ばれるような、長期持続的な成長が見込める魅力的な市場環境をつくり、将来期待を高め、国内投資やイノベーション、国民の所得向上につなげる――。これが新機軸の大きな考え方です。

企業の「国内回帰」の動きが始まっている

――経済安全保障も「新機軸」の一つなんですね。

そうです。私たちは昨年、台湾のTSMCが熊本県に建設する新工場の整備費用として、最大4760億円の補助金支給を決めました。日本国内に半導体の生産場所を確保できたことは、経済安全保障上とても大きな意義があると思っています。

工場建設だけではありません。これが地域活性化や人材育成、経済全体の底上げにもつながっています。すでに九州エリアには約1000社が集まり、半導体を核にした広範囲なサプライチェーンができています。関連の製造品出荷額は約1.5兆円。全国シェアの4割を占めるようになりました。

【図表5】九州エリアの主な半導体関連企業

地域に雇用を生み出し、賃金アップを牽引する役割も果たしています。半導体生産のためのデジタル人材を育成しようと、地元に専門の学科や学校を作ろうとする動きも出てきています。国内投資によって経済の好循環が生まれる「新機軸」の成功事例になっています。

今後は、日本の「Rapidus」(ラピダス)のほか、蓄電池分野にも支援を行う予定です。九州だけでなく、このモデルを全国に広げていくことで日本を再び成長できる国にしていきたいと考えています。

飯田祐二経済産業政策局長
撮影=遠藤素子