「ソフトウエアを売れば、Googleのような利益が得られる」

一連の動向についてワイアード誌は、各社がソフトウエア業界のサブスクの流れを取り込もうとしているのだと分析している。

記事は、「世界の自動車メーカーが、MicrosoftやAppleなどの大手テック企業の超常的な収益に嫉妬するのも無理はない。ソフトウエアを売れば、Googleのような利益が得られる――そんな理屈だ」と論じる。

だが消費者の理解は、メーカーが想定するほど深まっていないようだ。米自動車情報サイトのカー・スクープは今年3月、アメリカでのアンケート調査の結果を報じている。「ショッキングなことに(またはそうでもないことに)、あらゆる年齢層の消費者が車内サブスクを受け入れていない」との見出しだ。

記事は、年齢層や所有の車種にかかわらず、新技術への支出に関心を抱く消費者は「ほとんどいない」と指摘する。同誌が取り上げている米コンサル企業のオートパシフィックによる調査では、新車の購入予定者を対象に、どのようなサブスクに興味があるかを尋ねた。

結果、ネット越しのリモート操作などのサブスク機能に興味があると回答した人々は、最も先端技術に興味があると思われるEV購入予定者においてさえ、わずか23%にとどまったという。プラグインハイブリッドを予定している人々では21%、ガソリンエンジン希望者ではさらに落ち込み16%となった。

EVを作って売るだけでは儲からない

消費者はサブスクに興味を示していないが、メーカー側が強くプッシュしているのはなぜだろうか。

CNNは、「そこには単純な理由がある。EVは自動車メーカーにあまり収益をもたらさないのだ」と解説している。フォードの幹部は2026年までEVが利益を生むことはできないと発言しており、GMも2025年までは収益が立たないとの見解を示しているという。

パリの路上の充電スタンド
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記事はデロイト・トーマツのリポートを引き、現状通りのビジネスを継続する場合、業界では将来的に利益の50~60%が損なわれる危険があると報じている。「業界にはあまり選択肢がないかもしれない」とCNNは述べている。

そこで頼みの綱となるのが、利幅向上が見込めるサブスクだ。ワイアード誌は、GMのメアリー・バーラCEOの昨年の発言を取り上げている。それによると同社は、社内調査の結果を基に、ユーザーは平均月額80ドル(約1万1000円)を支払う意志があると見込んでいるという。

中古車からも安定した利益を得られる

オプション装備のサブスク化はまた、これまで自動車メーカーの利益外だった中古車の利用からも、安定した収益を生み出す可能性がある。

現状、新車を一度販売してしまえば、メーカーの収益はそれまでだ。傘下のディーラーは中古車の販売や修理サービスで利潤を上げることも可能だが、純粋にメーカーの利益という意味では、中古車がいくら市場で動こうと意味がない。

米会計コンサル会社のKPMGでグローバル自動車部門を率いるゲーリー・シルバーグ氏は、ワイアード誌に対し、「巨大な市場です」と語る。「費用をかけてクルマを生産し、工場の設計と建設にも予算をつぎ込み、それなのに顧客と話す機会がない」という現状を、「馬鹿げている」と氏は表現している。