今野由梨さんは日本で初めて電話での相談サービスを立ち上げ55年もの間、社長としてダイヤル・サービスを率いてきた。自身の子どもを持つことはなかったが、私財を投じて何人もの発展途上国の若者の親代わりをしてきたため「国境なきお母さん」の異名を持つ。今野さんは「私には貯金も資産もない。でも老後に不安はない」という――。

藪の中にけもの道をつけてきた

わが国のベンチャー企業の草分け、ダイヤル・サービスを立ち上げた今野由梨さんは、自分より若い世代の起業家のことを「かわいいけもの」と呼ぶ。自分は若い起業家(=けものたち)が少しでも前に進みやすいように、藪の中にけもの道をつけてきたのだという。

ダイヤル・サービス社長 今野由梨さん。
撮影=市来朋久
ダイヤル・サービス社長 今野由梨さん。

今野さんがつけたけもの道は、もちろん起業家のためのものだけではない。働く女性のためのけもの道もたくさんつけてきた。