※本稿は、和田秀樹『80歳の壁[実践篇]幸齢者で生きぬく80の工夫』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
最も注意すべきは「ご飯やパンから食べはじめること」
本稿では、「いろいろな食材をどんな順番で食べるか」について、お話しします。年をとると、血糖値が乱高下しやすくなることもあって、若い頃以上に「何から食べはじめるか」という、「食べ順」が重要だからです。
最も注意したいのは、「炭水化物」系から、食べはじめることです。少なくとも、最初から、炭水化物系ばかりを口に運ぶのは避けましょう。
食べはじめから、炭水化物系ばかりを口にすると、血糖値が急上昇してしまいます。すると、膵臓のランゲルハンス島がインシュリンを分泌し、血糖値を下げようとします。
すると、血糖値は下がるのですが、そうした血糖値の乱高下が体の負担になり、細胞の炎症を引き起こすのです。細胞の炎症は、ほぼイコールで「老化」を意味します。
むろん、炭水化物を多く含む食品の代表格は、ご飯とパンです。いきなり、白飯だけを食べるという人は少ないでしょうから、むしろ問題はパンにあります。
いきなり、ジャムをたっぷり塗った食パンにかじりついたり、菓子パンをパクつくと、血糖値が急上昇します。まずは、サラダなど、副食を胃に入れてから、パンをかじるのが、正しい「食べ順」です。
その意味で、フレンチやイタリアンのコース料理で、前菜を先に食べ、パンやパスタをその後で食べるのは、理にかなった「食べ順」といえます。それよりよいのは和食の懐石料理で、焼き物、煮物、向こう付けなどの料理のあとに、締めに白いご飯を食べるのも、理想的な「食べ順」といえるのです。
理想をいうと、やはり最初は「タンパク質」を口に入れたいものです。たとえば和風の朝食なら、まずは豆腐や玉子料理を食べてから、ご飯を口に運ぶといいでしょう。サラダ類など、野菜を先に食べるのも、いきなり炭水化物系をパクつくよりは、健康的です。
また、昼食には、麵類を食べる人も多いと思いますが、その場合も、豆腐の小鉢を用意するなど、「タンパク質」を食卓に添え、そちらから食べはじめるといいでしょう。