実はよくある統一協会の手口だった

そこで、結婚して家を出ていた長女が、「何かおかしい」と、母親の兄弟たちに相談をもちかけた。私は、この母方の兄弟から相談を受けたのである。

私はこの農家へと連れて行かれて、息子さんが合同結婚式で出会ったというお嫁さんに会うことになった。

真っ赤なワンピースを着た彼女は、私を見るなり、「話すことはありませんから」と一言。二階の部屋へと駆けあがって行ってしまった。結局、私は、ご家族に対策弁連の連絡先を教えることしかできなかった。

その後、その女性は義父を老人ホームへ入所させ(入所後死亡)、義母を長女の家に追い出し、家屋や田畑の名義を彼女の名義に書き換えて、売却してしまった。すべて、あれよ、あれよという間だった。

これは、実はよくある統一協会の手口なのだが、こうした事例は、表立って裁判になるような「事件」の陰に隠れているだけで、実はこうした「わかりやすい被害」よりも多いのではないかと私は思う。

私も、もっと支援をしてあげていれば、と悔しい思いをした出来事だった。

訴訟の請求額はあわせて40億円にのぼっている

こうした被害は、決して統一協会時代の、過去の話ではない。

図表1「係属中の(宗)家庭連合(旧統一協会)関係被害訴訟一覧表」を見てほしい。

係属中の(宗)家庭連合(旧統一協会)関係被害訴訟一覧表 ※一部略
出典=『新宗教の現在地

2020年1月9日時点で、請求金額の総額は、約40億円。1件あたりにすると、3000万円ということになる。献金、物品購入、弁護士費用というのが主な内訳だ。