ハリソン・リーとアリス・リンも、ブリンケンが北京で父親の件を議題にしてくれるのではと期待した。「だが、それだけでは足りない」と、ハリソンは言う。「この問題にはジョー・バイデン大統領以下、政府が一丸となって取り組んでほしい。父の帰国につながる現実的な計画を立て、行動を起こしてもらいたい」
キャロライン・ツァイは米政府を通じて中国当局に何度も人道的配慮を求めたが、「無視された」という。「アメリカ人が中国で不当に拘束され足止めされる問題を公の場で提起してくれるよう、ブリンケンに切に求める。これは重大な人権侵害で、多くの家族を引き裂いている」
1月、アメリカ人の不当拘束にブリンケンは「個人的に関心を払い、解決に尽力している」と、国務省の広報担当は発言した。バイデン大統領が昨年11月に習近平(シー・チンピン)国家主席との首脳会談でこの問題を取り上げたことにも触れ、こう確約した。
「われわれは今後も中国で不当に拘束された国民を擁護し、その家族を支援していく。現政権はあらゆるレベルで、被拘束者の解放を訴えている」
メディアへの露出が味方に
21年9月、スパイ容疑で中国に1000日以上拘束されたカナダ人のマイケル・スパバとマイケル・コブリグが解放された。この一件を境に、外国人の拘束をめぐる交渉の潮目が変わったとみる向きもある。
18年12月に詐欺容疑で逮捕されカナダで自宅軟禁に置かれた通信大手・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟(モン・ワンチョウ)副会長を釈放させるためにスパバとコブリグを「取引材料」にしたとして、バイデンは中国を非難した。実際2人の解放と同時に、孟は軟禁を解かれた。
昨年12月、バイデン政権はアメリカで服役中だったロシアの大物武器商人ビクトル・ボウトと引き換えに、薬物所持などの罪で同年2月からモスクワの刑務所に収監されていた女子プロバスケットボール選手のブリトニー・グリナーを解放させた。