予備校に置いてある「合格体験記」を手に取るべき理由
ただ、ロードマップを埋めるための情報源である他人の合格経験は、先輩やOB・OGから聞けばいいですが、周りに情報を持つ人がいないこともあります。たとえ情報を持つ人がいたとしても、ロードマップを埋めるのに十分な人数の先輩がいることは少ないです。
そこで「合格体験記」を読んでください。「合格体験記」とは、各予備校や塾が出している「大学合格までの受験生の道のり」をまとめた小冊子です。勧誘のために受付に置いているところや、自習室や講師室などにもあります。
トレースする経験を見つけるために、なるべくたくさんの人の合格体験に触れて、そこから少しずつ真似できるところを吸収していくことが大切です。この「合格体験記」は1冊に数十人の体験が載っているので、先輩ひとりひとりに「話を聞かせてください」と声をかけるより、はるかに効率的なのです。
自分と条件が近い合格者の勉強スタイルをトレースする
ただ、注意してほしい点がひとつあります。それは、トレースすべき合格者のスタイルは、受験生が憧れる、あるいは受験生に近いものでなければいけません。
例えばあなたが、現時点で高校3年生、まったく勉強をしてこなかったとします。その場合、高校1年生からコツコツと勉強し、着実に力をつけてきた人の勉強法を真似しても仕方がありません。
むしろ、「甲子園に出場して、高校3年の夏までいっさい勉強してこなかった人」の勉強スタイルをトレースするべきです。
合格体験記によるとこの人は、最初こそ成績が伸びたものの、夏休み明けに伸び悩む。けれど参考書を変えて、塾を変えたことで、また一気に成績が上がる。
「なるほど、この時期に伸び悩む人は結構いる。いちいち落ち込まなくていいのか」とこれでわかります。「この人は、どこの塾に変えたのか」「参考書はどれにしたのか」「自分は最初からその塾、参考書を使えばいいのではないか」など、メンタルの部分から、具体的な塾・参考書の名前まで、学ぶべき点が数多くあります。
「甲子園球児だからな、そもそも根性があるから、もしかして自分とは違うか。なら、この『高校3年まで、部活も勉強もせず遊び歩いていた』という一見チャラそうなこいつの方が、自分に近いのか……」
このように「合格体験記」を読んでいるととにかくいろいろな人の体験を吸収でき、それによってロードマップをさらに詳しくすることができるのです。