全国の小中学校や高校で「卒業式はマスクなし」とするところが増えてきた。学校における感染症対策の今後はどうなるのか。2022年、約5000人の学童にアンケート調査を行った高久玲音・一橋大学経済学研究科准教授は「約2割の生徒がマスクを外すことに抵抗を感じている。教師など大人が脱マスクを強く指導することは避けるべき」という――。
マスク生活はわれわれが背負うべき永遠の十字架か
2020年3月2日に全国の学校が突然の一斉休校となってからこの3月で3年になる。突然の休校から文字通り切れ目なく続いた3年間の制約の多い生活は子どもの日常を一変させた。コロナ禍以降、子どもの体力低下や体重の増加などが報告されるだけでなく、自殺の増加など子どものメンタルヘルスの深刻な悪化を示す例も示されている。国立成育医療研究センターの研究でも摂食障害の子どもの数がコロナ禍で増加したまま高止まりしているという(参考1)。
感染拡大当初、コロナウイルスが「未知の感染症」であったころはともかく、オミクロン株に変異し重症化率が低下したことが明らかになった後もなお、1年にわたってそれまでと同じ感染対策が続けられたことには、極めて厳しい批判もある。例えば、全国に先駆けて黙食を原則撤廃した千葉県の熊谷俊人知事は、「最も重症化しづらく、最もマスクによる弊害が考えられる幼児・小学生が事実上、マスクを常時つけ、私たち大人が当たり前のように経験してきた貴重な経験を一部、一方的に奪われ続けてきたことは日本人が永遠に十字架として背負うべきものだ」(参考2)と述べている。
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