チョコをかけた製品を発売するも1年で消えた過去が…

【桶谷】「まみれさん」というキャラクターやネーミングは、どこから降ってきたんですか。

過去にもトライしては消えていったチョコでコーティングされたカントリーマアム…今回「これがダメなら諦める」の覚悟で定番化することができた。
撮影=プレジデントオンライン編集部
過去にもトライしては消えていったチョコでコーティングされたカントリーマアム…今回「これがダメなら諦める」の覚悟で定番化することができた。

【板橋】ロングセラー商品を若年層に訴求するとき、キャラクターを使うのは定番のやり方です。「まみれさん」は、デザイナーさんと「チョコの沼から“ぬぅ~~~~~ん”とゆっくり上がってくる感じで」などと話をしていて生まれました。

商品名は、やっぱりチョコが推しなので、「チョコづくし」「チョコずくめ」「チョコだらけ」などの案の中で出てきたものです。「まみれ」というのは、普段あまりプラスの意味で使わない言葉ですよね。

【桶谷】そうですね。「ほこりまみれ」とか「泥まみれ」とか。

【板橋】それを食べ物に使うのは抵抗がありましたし、お客様サービス室にも「あまりよろしくないのでは」というご意見が寄せられたりしました。でも実はいままでもずっと同じ路線を模索してきて、トライはするものの市場に残れていなかったので。

【菊池】実は過去にも、カントリーマアムにチョコをかけた製品を発売しているんです。でもブレークせずに1年くらいで消えていった。定番として残るためには、多少のインパクトが必要だろうと判断しました。これがダメなら諦めるというくらいの覚悟はありましたね。

テスト販売だったので思い切ったトライができた

【桶谷】それにしても伝統ある老舗企業で、よくここまで振り切りましたね。

【板橋】スタートがテスト販売だったので、ゲリラ的に思い切ったことができたんです。デザインがデザインなので、途中経過はあまり見せずに、実際に中身(商品)をつくる福田と二人で水面下で動きつつ、上に提案するタイミングを見計らっていました(笑)。当時テスト販売を担当する広域営業部の責任者が菊池だったことは、大きかったと思います。

【菊池】私はもともと企画部門にいて、板橋はそのときの部下でした。

【桶谷】それは理解のある方でラッキーでしたね。堅物の営業の方だと、「こんなふざけたもの」といわれかねない。