カニバリは、ほとんどなかった
【桶谷】この「チョコまみれ」になってからは、狙い通り高校生に買われていますか。
【菊池】やはり最初に反応してくれたのはその層でしたが、40代や50代にもすごい速さで伝播していきました。だからこそ、これだけの売り上げになったと思います。
【桶谷】それで大袋を発売して、スーパーでも売るようになり、ファミリーユースになっていったのですね。
ちなみに「チョコまみれ」が出たことで、通常のカントリーマアムの売り上げが減ったりしませんでしたか。
【菊池】カニバリ(共食い)はほとんど見られませんでしたね。冒頭で申し上げたように定番のカントリーマアムと「チョコまみれ」の売上比率は10:6くらいで、定番10の上に6が乗っかった形です。
最初の名称は「俺のカントリーマアム」だった
【桶谷】「チョコまみれ」というネーミングや、「まみれさん」というキャラクターは、板橋さんが考えられたのですか。
【板橋】私はまとめ役にすぎません。いろいろな人の意見を聞いて、この最終形態になりました。みなさんからアドバイスをもらえなければ、全然違う方向に行っていたと思います。
何しろ、いちばん初めは、最もカントリーマアムを食べている層である、「男子高校生のためのカロリーマックス、チョコマックス」みたいなコンセプトだったんですよ。中身はいまとまったく同じですが、名称が「俺のカントリーマアム」だったんです。
【桶谷】そうだったんですか!
【板橋】パッケージデザインも、学ランを着た高校生が坊主頭の上に、チョコでコーティングしたカントリーマアムを乗っけているというイラストだったんですよ。
ほとんどそれで進んでいたところ、土壇場で「やっぱり狙う層が狭すぎるので、もう少し万人受けするパッケージやネーミングに変えたい」という話になりまして。
そこから現在の「チョコまみれ」になるまで、わずか2週間ほど。時間もなかったので、どんなお菓子なのか、お客さんがすぐわかるように、なるべく要素を省いてシンプルにしたのがよかったのかもしれません。もし「俺の~」だったら、今ごろ残っていませんよね。黒歴史ですよ(笑)。