じつは、一発屋で終わるだろうと思っていた

【福田】私は中身を開発しているので、「チョコまみれ」ができたときに、社内の人から「すごくおいしいね!」という感想をけっこうもらったんですよ。私自身も「おいしいのができた」と自信があった。ところが完成品ができてきたら、パッケージがこれ(笑)。正直、「ああ、せっかくいいのができたのに、一発屋で終わるだろうな」とその時は思いました。

【板橋】そんなふうに思ってたなんて、いま初めて聞いたよ(笑)。

【福田】でも実際にはこのパッケージにひかれて手に取ってくださったお客さまが大勢いらしたからこそ、ここまで成長できたのだと今は思います。

【桶谷】最初は興味本位でも、中身がおいしければ、リピート買いしますものね。インパクトだけでなく、味が重要ということですね。

【板橋】おっしゃる通りです。特徴的なキャラクターなので、グッズ販売もいくつかトライしたのですが、まったくダメでした(笑)。やはり、この中身、味があって初めて成り立つ商品なのだなと。

それぞれ手にカントリーマアムを持って
撮影=プレジデントオンライン編集部

取材を終えて 桶谷 功より
責任感が強すぎると、大胆な発想や商品は生まれにくい。今回はゲリラ的な商品だし、失敗しても大きな損失にはならないし、といった一種無責任な状態のほうが自由に発想できる。最近のキーワードで言えば「心理的安全性」が高いということ。
取材をしていて、上長の方がチームにそういう環境を用意されていると、とても強く感じました。みなさん楽しそうで、かつ、まみれさんのようにゆるくて緊迫感がない(すみません!)空気感の中で話がはずむ。まさに、この環境がアイデアを生み出すのではないでしょうか。
私がファシリテーションを行うアイデア・ジェネレーション・ワークショップ(アイデア創出ワークショップ)などでは、意図的にそういう雰囲気をつくるのですが、普段からそういう環境を自然につくられているとしたら、とてつもなく素晴らしいことだと思いました。

構成=長山清子

桶谷 功(おけたに・いさお)
インサイト 代表取締役

大日本印刷、外資系広告会社J.ウォルター・トンプソン・ジャパン戦略プランニング局 執行役員を経て、2010年にインサイト社設立。初著『インサイト』(ダイヤモンド社)で、日本に初めてインサイトを体系的に紹介。他に『インサイト実践トレーニング』『戦略インサイト』(ともにダイヤモンド社)など。商品開発・ブランド育成などのコンサルティングを行っており、消費財・サービス・テック系企業などで実績多数。インサイト オフィシャルページ