FX業者は「博打の掛け金」を貸してくれる

たとえば100万円を借りてみます。

100万円を借りて1回勝負をしたら、2分の1の確率で勝ち、200万円になります。借りた100万円を返したとしても100万円の儲けです。

しかし、これには問題があります。それは、負けたときに100万円を一気に損してしまうことです。負けると、いきなりまるまる借金が100万円になります。もし100万円を借りて車を買ったなら、100万円の借金があっても100万円で買った車が手元に残りますが、ルーレットで負けた場合は手元には何も残らず、借金の100万円だけが残ります。

このような博打は大変危険だと思う人が多いでしょう。

しかし、ざっくりいうとFXはこういう賭けと同じです。

この博打には決定的な欠陥があります。お金を持っていない人に100万円ものお金を貸してくれる人を探さないといけないのです。そんなに都合よく、博打の賭け金を貸してくれる人はいません。

しかし、この構造はそのままで、賭け金を貸してくれるというしくみを持つのがFXです。次にざっくりと説明してみます。

日本円とドルマークを掲げるビジネスマンの手
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レバレッジはお金を貸す側が損しないシステム

たとえば全財産で1万円だけ持っている人がいたとしましょう。その人に99万円貸します。すると、その人の持ち金の合計は100万円です。

そのお金で為替の勝負をします。為替レートはちょうど1ドル100円だとします。

まずはその人は、ドルが値上がりすることに賭けました。そして1万ドルを買うことにしました。もしその後、1ドルが101円に上がると、1ドルにつき1円の儲けです。

これを、1万ドル買っているわけですから全体では1万円の儲けになります。

つまり、元手が1万円しかないのに、為替が1円動いただけで倍になったということになります。このままどんどんドルが上がって120円になったとしたら20万円の儲けになり、元手の20倍になります。

さて、問題は値下がりしたときです。仮に10円くらいドルが値下がりしたとします。

この時点で売却すると90万円です。100万円で買ったものを90万円で売るわけですので、10万円の損失になります。

これではこの人は借金を返済できません。借りた人は自分のお金を1万円しか持っていないので、お金を貸した人は9万円を損します(焦げ付きといいます)。

実は、FXにはこういう場合、もっと早く取引を解消して、お金を貸した人が損しないというルールがあります。

お金を借りた方が耐えられる損失は、金額では1万円です。100万円分のドルを買っているわけですから、為替レートでいえば1ドル99円、つまり本来なら1円の値下がりにしか耐えられません。

お金を貸した方は、それ以上損されると貸したお金を回収できなくなるので、損をしたらすぐ問答無用で買ったドルを売却します。最初の手持ちの1万円分のドルも含めてです。

つまり、自分が賭けた方と反対方向にドルが1円動いただけで、全部の賭け金を失うというルールです。