為替は理論値通りには動かない

為替の世界で唯一論理的に為替レートを計算できるかもしれないと思われている購買力平価ですら、実際の世界では理論値通りにはなりません。ならないどころか大きく乖離かいりしているのが現状です。

たとえばトルコリラなどは、購買力平価で計算したレートより実際は圧倒的に安くなっています。また、ドル円で見ても購買力平価では90円くらいであるはずのものも、実際は145円くらいになったりします。

ところで、現在(2022年12月)アメリカと日本ではインフレ率に差がありますね。

アメリカのインフレ率の方が日本よりも高くなっています。

たとえば、ある時点で1ドル100円で、ビッグマックが日本で100円、アメリカで1ドルだったとします。1年後にビッグマックが日本で100円で据え置き、アメリカでインフレで1.5ドルに値上がりしたとします。

もしそうなら100円と1.5ドルが同じ価値のはずなので、1ドルは67円くらいの円高になるはずですね。つまりインフレの激しい方の通貨が安くなるはずなのです。

アメリカは激しいインフレなのに、米ドルは割高なまま

でも、実際は逆で急激な円安が進行しています。

【図表1】ビッグマック指数で、各国通貨と米ドルの価値を比較した場合
出所=『お金以前

図表1はビックマック指数でみた世界の購買力平価ですが、スイス以外のすべての国で米ドルが圧倒的に割高になっています。

たとえばビックマックはアメリカで3.99ドルで日本では400円だったとします。そうなると1ドル100円のはずですが、この図で見るとドルは理論値よりも約50%割高だということになります。