妥協案では解決できない
大切なことは、私たちにとってよりよい選択肢はきっとあると信じること、そしてこの「第3の案」を探すプロセスに積極的に取り組むことです。
たとえば、次のような声を掛けてみるのも効果的な方法です。
「今は出ていない、もっとよい案があるかもしれません。まだ、私たちが見つけていない『第3の案』を一緒に探しませんか?」
このような提案を実際にしている光景はあまり見かけません。しかし、実は問題を解決し、お互いの未来を変えるための鍵となる言葉です。
ただし、ここで気をつけなければならないことがあります。「妥協案」を「第3の案」と勘違いしてしまうことです。
妥協案を選択することは、お互いの最低限の共通項を見つけ出し、それを解決案として選択することです。妥協は一時的に問題を解決するかもしれません。問題の悪化を防ぐからです。しかし、悪化を防いでいるだけで、問題はまったく解決されていません。結局、対立がいずれ再燃したり、徐々にお互いの関係が悪化したりしてしまいます。
私たちは、意見の対立があると、どうしても合意点、共通の利益を見つけようとしますが、人によって意見が異なるのは自然であり、かつとても重要なことなのです。
私は長年にわたって幾度となく、ふたりの人間が同じ意見を持っていたら、どちらかひとりは不要だと言ってきました。相違のない世界に進歩はありません。それなのに私たちは違う意見にぶつかると、違いを尊重せず、ついつい自分を守ろうとしてしまいます。
大切なことは、相手の案や意見を尊重しながら、常に「第3の案」を探そうとすること、そして自ら探す行動を起こすことです。