――2社の合併を行うからには、どのような合併効果を想定しているのか。

櫻田 細かい数字は現在、精査している。ワンブランドになるので店舗コスト、システム統合など確実に経費の圧縮はしやすくなる。今後もコスト削減には聖域なく取り組んでいく。

合併で何よりも期待しているのは、課長職以下の若い社員が大きなフィールドで勝負するとなれば、まったく違うポテンシャルを引き出すのではないかということ。そうなれば目標の一番目に掲げた「お客さま評価日本一/NO.1」を目指す勢いも違ってくる。実際に「これでやるべきことがわかった」という若い社員たちの声には勇気づけられる。

そのためにも人事はオープンでフェア。要するに公平な人事をする。日本興亜出身だから、損保ジャパン出身だからという人事はしない。できるだけ早く制度設計して、共通の物差しで人物評価できるようにする。

――単体としては、東京海上日動火災を抜いて、規模等で、業界のトップになる。リーディングカンパニーとしてどんな会社を目指すのか。

櫻田 世界に伍して戦うための「5つの挑戦」を掲げているが、「お客さま評価日本一/NO.1への挑戦」をいかに早く実現できるかだ。これからの損保は、サービス産業に進化すべきだ。単なる「損害保険」の枠を超えて、さまざまなサービスを提供することによって、少子高齢化を迎えて、国内マーケットが全体として縮小していく中で、成長シナリオを描けると考えている。NKSJグループには国内で2000万人のお客さまがいる。やはり中核は損害保険事業で、我々は国内の事業基盤をしっかり固めていく。

一方、海外事業も強化していく。中国には業界に先駆けて5つの拠点を設けている。さらにインド、タイ、インドネシア、マレーシアなどにも進出している。中国に限らず新興国へ参入する一番の目的は自動車保険の契約をとること。保険会社の買収や現地法人の増資、現地の販売網の買収など事業拡大の方法を考えていく。ただ、あれもこれもと広げることはできない。人口急増で自動車販売が伸びている新興国の自動車保険の成長を取り込んでいきたい。

※すべて雑誌掲載当時

(尾崎三朗=撮影)