新興国の課題は「中所得国の罠」を回避できるかどうか

ベトナムもそうでした。4年ほど前にある企業の経営者から「ベトナムに投資したい」との相談を受け、現地に同伴したことがあります。当社の顧問税理士がベトナムに支社を持っているので、投資可能な不動産とビジネスをアレンジしてもらい視察に行ったのです。

しかし、現地で話を聞いてみると「2025年ぐらいから中所得国の罠にはまりはじめる可能性が高い」という結論に至りました。視察した企業経営者は、結局、投資を断念しました。新興国で大きなリターンを狙うには、「中所得国の罠」を回避できるかどうかを見極める必要があります。

インドもいまだ自分たちで新しい商品やサービスを開発できる段階にはありませんから、「中所得国の罠」に陥るリスクがあります。

カースト制度も障害になるでしょう。経済の発展に合わせて国の制度も洗練されていく可能性はありますが、カースト制度は宗教が絡んでいるだけに、完全になくなることは考えにくい状態です。インドが経済成長して先進国の仲間入りをするときにカーストは大きな障害になり、人材を活用しきれない可能性があります。

中国の経済発展は期待できるが政治的リスクが大きい

先進国へのハードルを超えられる新興国として2003年にBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)が話題になりました。ゴールドマン・サックスがレポートの中でこの言葉を使い、以降、広く浸透したのです。

あれから20年ほど経過し、確かに中国は先進国への道を歩んでいます。実際に電気自動車(EV)の分野ではBYD(比亜迪汽車)が販売台数で世界一位になっています。同社は自社開発していますし、中国は世界的なトレンドまで形成するほどになってきており先進国への道を着実に歩いているといえます。

ただ、中国は共産党の思惑で政策が変わる可能性があります。たとえば、資産を海外に持ち出すことを禁止するなどの可能性も否定できず、怖くて思い切った投資ができないと考える投資家も多くいます。お金持ちは外国に直接投資する人も少なくありませんが、現地に投資するならその国の法制度や政治の安定性にも注意を払う必要があるのです。