問題①支払いツールが多岐にわたり、支出が不透明

最初に気づいたのは、支払い方法の問題点。クレジットカードは家族カードと個人用、ポイントをためるためのデパート系と3種類。加えて、ポイント還元キャンペーンにつられてインストールした支払アプリなど、次から次へカードが出てきて支出の不透明化に拍車をかけていました。

「ポイント5倍キャンペーン」や「20%還元キャンペーン」があれば、その支払いツールを使いたくなる気持ちは多くの人が共感するでしょう。私もよくわかります。ですが、上村家の敗因の一つは、支出を把握せず、「必要だから」とお金をジャブジャブ使っていたこと。支出を「見える化」し、ムダを徹底的に省く必要があります。ポイ活はその前提で実施すべきです。

そこで、いったんお金の流れを整理するためにすべて現金払いに一本化。頑張って1カ月間家計簿をつけてもらいました。すると、食費や日用品費だけでも支出が1万7000円も削減。後述しますが、その効果もあり貯金額も大きくUPしています。図らずも、ポイントを意識しなくてもお金はたまることが証明されました。

クリップで留めてあるレシート
写真=iStock.com/oasis2me
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問題②貯蓄目的で入った月10万円超の生命保険料

一緒に支出を調べる過程で、他にも大きな問題点に気づきました。生命保険に月12万5000円も払っていたことです。往々にして月4万円以上の高額な生命保険を払っている家庭の場合、その保険商品は貯蓄型ですが、上村さんも例に漏れず……。

いわく、「保険なら強制的に差し引かれるし、取り崩しもできないから自動的に資産が増えますよね」。このように、自分では貯金できないから生命保険を利用してためようと考える人は少なくありません。

上村さんが入っていたのは、米ドルの積み立てと円建ての終身保険。内容を詳しく見させてもらうと、セールストークである「予定利率」とは大きく違い、実質利回りは0.3%程度の商品も。よく言われる「予定利率」はすべてに対してかかるわけではなく、一部のみ。誤解されやすいので注意が必要です。

仮に、実質利回りが1%だったとしても、大きな得でしょうか? インフレでお金の価値が下がれば、まったくリターンになりませんよね。であれば保険はシンプルに保障だけにして、貯蓄に関しては、長期積み立て投資を年3~4%の利回りで運用したほうが、はるかに効率的ではないでしょうか。本来、保険は保障だけで十分なんです。