「『シュロぼうき』は、やさしく掃き寄せるように使います。木の床、フローリングにはピッタリです」「シュロぼうき」がフローリングに適しているのは、その使い勝手からだけではない。

シュロは植物性油脂をたくさん含んでいるため、掃くと床に油脂がのり、天然のワックスのような効果が出るのだ。当然、水にも強い床になるから、長持ちもする。

しかも「『シュロぼうき』は、20年は使える」。隊員1号の私は56歳だから、いま1本買えば、一生もんとなる計算だ。「シュロぼうき」は、一生に3本あれば足りると言われている。

ところで、ほうきとペアのはたきにも正しい使い方というのがある。はたきは、布の先端部分だけを激しく当ててやるのがいい。高野さんは、ほうきのときとは違い、バッ、バッ、バッと布先を強く素早く動かして、まさにはたいた。

とても、パタパタという感じではない。「はたきを1週間に1回でもかけると、ほこりはたまらないものです。ほこりを落とすためじゃなく、ほこりをためないために使うものです」

ほうきも同じことらしい。「単にゴミやほこりを取り去るだけなら、掃除機のほうが優れています。ほうきやはたきを使うことは『ゴミをためない暮らしをしよう』ということです」

確かに、ほうきは日頃の暮らし方を見直すきっかけになりそうだ。

子供に使わせるのもいい。道具を調整しながら、大切に使い切る経験ができる。普段きれいにしておくと、掃除も楽に済ませられることがわかる。効率よく作業をするための段取りを考えるようになる。

こうしたことが、自然と身につけられるのだ。高野さんも「掃育という言葉がある」、と話していた。