税制改正により、相続財産から差し引かれる基礎控除額が減額され、相続税の対象となる被相続人は100人に4人から、100人に8人と一気に増え、東京都では17%にのぼる。とりわけ課税対象のボーダーラインをやや下回った程度の人は、油断禁物だ。たとえば「家族名義」の預金。まさかのお金が、課税対象になることも多い。本人たちが気づいていないお金の動きまで調べ上げるのが、税務署である。さすが公権力の調査能力。侮ってはいけない。

家族名義の預金がよく問題になる

相続税は2015年に改正されて、相続財産から差し引かれる基礎控除額が減額されました。それまで相続税の対象になる被相続人は100人に4人でしたが、この改正で100人に8人に。一気に倍増です。

倍増とはいえ、対象者は上位8%(都道府県別の最高は東京都の17%)。相続税はほとんどの人に関係がないという指摘は、あながち間違っていません。

ただ、課税対象のボーダーラインをやや下回った程度の人は油断禁物。自分が知らない財産、あるいは自分のものだと思っている財産が、税務調査によって故人の財産とみなされ、相続税を払わなくてはいけなくなるケースが後を絶たないのです。

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