【コツその4】布地が二重になっている部分は、端から中央へと左右2回に分けてかける。
襟のかけ方には、ちょっとしたコツがある。襟は端から中央に向かってかける。端から端に向かってかけると、最後にシワが寄ってしまう。これを防ぐためには、空いた手で反対の端を引っ張りながら、アイロンを端から中央まで滑らせる。次に逆向きに同じことをする。
端から中央までというかけ方は、左前身ごろに付いているポケットでも使う。左右の端から中央までかけ、最後に下から上に向かってかけると、きれいにできる。
襟やポケットに限らず、布地が二重になっている部分には、端から中央までというかけ方をすれば、最後にシワが寄ることを防げる。
【コツその5】アイロンは、布地の伸びない方向からかける。
布地には、伸びる方向と伸びない方向がある。ハンカチも、その方向を確かめた上で、まず伸びない方向にアイロンをかける。
最初に伸びる方向にかけると、布地が変形して、真四角にならなくなるのだ。伸びない方向にかけた上で、最後に伸びる方向に軽くかけてやればよい。
【コツその6】ズボンはアイロンを滑らさない。
まずウールのズボンにアイロンをかける場合には、当て布を使う。これもズボンの上に置くと、どこをかけているのか見えにくくなってしまう。むしろ、当て布でアイロンをくるみ、それでかけるほうがやりやすい。
さらに、アイロンはズボンの上を滑らさない。スチームを出して置くだけ。次は、場所を隣に移して、また置くだけ。これが「プレスタッチ」だ。布地がよれないから2本線になることもない。テカリも抑えられる。
以上を、齋藤さんは見事な手さばきで実演してくれた。そのときのアイロンがちょっと変わっていた。
普通のアイロンは三角形だが、齋藤さんが使っていたのは両端がとがっている「Wヘッド」というものだった。これだと、前にも後ろにもスムーズに動かせて、いちいち持ち替える必要がない。スチームも全面から出て、量も多いという。
調査後、隊員2号のイラストレーター女史が「20年ぶりに、アイロンを買い替えようかしら」とつぶやいていた。