部活動問題の影響を受けない中高一貫校もある
一方、教員による部活動の顧問に特段問題はないとする学校もある。例えば、成城(東京都新宿区/男子校)。入試広報室長・中島裕幸さんは次のように言う。
「本校は部活動において、一部のクラブではコーチという形でOBなどを受け入れている場合がありますが、基本的には教員が顧問についています。学校の勉強とクラブ活動は、子どもたちの成長に深く関係している部分が多いと思いますから」
また、部活動の終了時間が早めに設定され、部活時間そのものが短い学校も問題なしのようだ。三輪田学園(東京都千代田区/女子校)の校長・塩見牧雄も、顧問の外注化に頼ることなく部活動はおこなえると話す。
「顧問は基本的に学校の教員がおこないます。ただし、華道とか茶道などの一部のクラブについては専門の先生をお呼びしています。これは数十年前からそうです。クラブ活動というのは生徒の心を育む面を担っています。だからこそ責任を持って学校の教員が中心となって見ていきたい。本校は勉強との両立をはかってほしいと考えていて、クラブ活動は週4回です。活動時間も17時半までと取り決めがありますから、いわゆる労基法の問題の影響をあまり受けていません」
以上の学校は、教員にあまり負担をかけないような勤務体系を意識的につくっているのかもしれない。
状況は学校によりけりだが、学校の教員の労働時間は法律で守られることが前提だろう。授業も部活も、とすべてを仕事モードで担っていたら体がもたない。
ただその一方で、部活動の顧問を学校教員が務めるべきなのか、外注して学校とは無関係の専門スタッフに依頼すべきか、これは私立中高一貫校の教育の根幹にかかわるものであり、なかなか難しい問題であるといえるだろう。
学校側にとって悩ましいのは、最近、部活を外注化するか否かという点を気にする受験生の保護者が増えていることだ。学校説明会などで「部活動の顧問はどういう立場の人間が担っているのか」と尋ねられる学校は少なくない。ある教員は「その質問からは、教員が自ら部活動に携わってほしいという保護者の願望が透けて見える」と語っていた。