アンケート調査の質問原文は、「ふだん(月曜から金曜日)、1日当たりどれくらいの時間、携帯電話(スマートフォンもふくむ)でメールやネットゲームをしたり、インターネットを見たりしていますか」です。

さらに私たちは、横軸で時間分けした6グループそれぞれを、自宅での平日の勉強時間の長さで①30分未満、②30分~2時間未満、③2時間以上の3グループに分けて解析しました。ですので、6グループそれぞれが3本ずつの棒グラフになっています。以上の勉強時間も、生徒たちの自己申告によります。

勉強している子どもの手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

スマホを触れば「勉強時間」が無駄になる

このグラフは、いったい何を示しているのでしょうか。グラフから読み取れることを、お話ししましょう。

最初にわかるのは、「家での学習時間が長いほど成績がよい」という当たり前の事実です。「家庭での学習時間が2時間以上」の白い棒グラフは、「30分も勉強しない」の黒や「30分~2時間」のグレーより高くなっています。

次にわかるのは、「携帯・スマホを使う時間が長ければ長いほど成績が悪い」という事実です。グラフの右にいくほど(使用時間が長いほど)、棒グラフが3本とも(ということは家での勉強時間とは関係なく)低くなっています。

さらに、6本ある白い棒グラフで低いものと、同じく黒い棒グラフで高いものの高さを比べると、こんなことがわかります。

「家で2時間以上勉強しても、携帯・スマホを3時間以上使ってしまう」生徒より、「家でほとんど勉強しないが(30分未満)、携帯・スマホを使わない」生徒のほうが「成績がよい」という事実です。家で2時間以上も勉強をしたのに、その努力が全部ムダになってしまっているかのようです。

携帯・スマホの使用時間が1時間未満ならば、家でほとんど勉強しなくても、やっぱり3時間以上使う生徒より成績がよくなっているのです。

携帯・スマホを長時間使う子どもの学力が低いと聞けば、多くの人は「家で勉強せずに携帯・スマホをいじっているのだから当然だ」と思います。

ところが、家で勉強する生徒もしない生徒も、携帯・スマホを長時間使用すると成績が低下しているのです。だから、直接の原因が家庭学習時間の減少である可能性は低い、と考えられます。

最悪の仮説…スマホを使うだけで脳に悪影響が生じる

とくに深刻なのは、家でほとんど勉強をしない生徒たちのデータです。彼らは学校でしか勉強しませんから、学校の授業で得た知識や記憶によってテストに臨んでいます。

それで数学の試験を受けたら、携帯・スマホを使わない生徒が平均約62点でした(左端の黒い棒グラフ)。ところが、携帯・スマホを1時間以上使うと、使用時間が長いほど成績が低下し、4時間以上使う生徒では15点も低くなっています(右端の黒い棒グラフ)。