誰にもやってくる「人生のどん底期」をどのようにしのげばいいのか。作家の松尾一也さんは「どん底を味わっているうちに、底打ちを感じることがあります。もうこれ以上は悪いことはないんじゃないか。少しずつ好転するかもしれないと思えるときが必ずやってくるものです」という――。

※本稿は、松尾一也『しなやかに生きる人の習慣 何があっても立ち直る50の秘訣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

悲しい若い女性は、顔を越えて手で泣いて部屋の床に座って
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運気が悪い時はじっと流れを待つ

今までの人生を振り返ってみて、「運気」というものがあることがよくわかります。

あの時はノリにノっていたなぁ。
あの時はなにをやってもうまくいかないことだらけだったなぁ。
あの時は長く停滞していたなぁ。

よく研修のプログラムで使われる「ライフライン」というものがあります。自分の人生を小さい頃にまでさかのぼって、現在までの人生の出来事とそれに伴う、自分の感情や感覚的な運気のアップダウンを一枚の図で表すものです。

ヨコ軸は時間、タテ軸は運気・感情です。やはり山と谷があり、長く生きれば生きるほど、その上下運動が多くなっています。

私も5回くらいの山を体験しています。山は人生の花と実を味わうような至福の時期です。

ここ数年の世界情勢では、多くの人が谷へ向け急降下しているかもしれません。誰にも文句を言えないツライ時期です。こんな時は悪い運が去るのを待つ力があるかどうかにかかっています。

松下幸之助さんも、

「悪い時が過ぎればよい時は必ず来る。おしなべて、事を成す人は必ず時の来るのを待つ。あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ」と語っています。

渦中にいると自分を見失いがちですが、いかに鳥の目(バードアイ)のように大空から俯瞰ふかんできるかが勝負の分かれ目です。

カオス状態の中でもすべてが悪いわけではなく、小さな希望や糸口を頼りに、一歩ずつ立ち直りの道を探します。

そんな時、灯台になる運の良さそうな人、運の良さそうなコミュニティを見つけることです。できるだけいい影響を受ける人と一緒の時間をもち、運気があがるのをじっと待ちたいものです。

ライフラインを振り返ってみてわかることは、ひとつの出逢いが人生を変えるということです。私も過去のどん底の時に、友人や仲間が根気づよくサポートをしてくれました。黙ってこちらの話を聴いてくれる人は宝物です。

人生は素晴らしい出逢いを待つ、ウエイティングゲーム(waiting game)なのです。「よき仲間を得ることは、聖なる道のすべてを得ることである」と仏陀も弟子のアーナンダに語っています。

<渦中から離れて「鳥の目」で見渡す>